潜行目視調査は、調査員がマンホールから下水道管の中に入り、管の内面を目で見て傷みを確かめる調査です。国土交通省の手引きが対象にしているのは管径800mm以上の管ですが、その太さでも水位と流速が高い区間では歩いて進むのが難しくなります。管の中の空気は入る前に測って換気する準備が要り、硫化水素などの濃度が高い管では調査ができません。人を入れずに管内を見る方法には、テレビカメラや水面に浮かべるカメラ、ドローンで管内を撮る調査があります。
映像で置き換えられるのは、ひび割れや継手のずれ、堆積のように管の内面に出た異状を見つける部分です。コンクリートの強度や残りの厚さ、ガスの濃度は、映像では測れません。ドローンを使えるかは、機体が入れる口径、水位と堆積、進入口からの距離、可燃性ガスの有無に加えて、見つけた堆積をそのまま清掃して撮り直せるかで決まります。管内点検ドローン『フクロウ』を運用する清美環は、下水道管の清掃を30年以上本業としてきたため、撮った区間で見つけた堆積の清掃まで引き受けられます。
潜行目視調査の意味と位置づけ
潜行目視調査は、国のガイドラインで、管の劣化の程度まで確かめる「視覚調査」の一つに分けられました。国土交通省の下水道事業のストックマネジメント実施に関するガイドライン-2015年版-は、潜行目視調査を「調査員が管内に潜行し、目視により管内を調査する」方法と書いています。管口カメラなどで異状のありそうな施設を絞り込む簡易な調査は、同じ表の中で別の分類に置かれました。
点検と調査の違い
点検と調査の違いは、異状があるかどうかを見るのか、劣化の程度を数量で確かめるのかにあります。同じガイドラインは、点検をマンホールの内部からの目視や管口テレビカメラで異状の有無を確かめることとしました。調査は、管内に潜行する調査員の目視や管渠用のテレビカメラで、劣化の状況を定量的に確かめることです。「潜行目視点検」という呼び方もありますが、ガイドラインの言葉では、人が管内を進んで見る作業は調査に当たります。
法令が定める点検の方法と頻度
下水道法施行令第5条の12は、公共下水道と流域下水道の点検を、適切な時期に「目視その他適切な方法」で行うよう定め、人が管内に入るかどうかまでは書いていません。下水の貯留などで腐食するおそれが大きい排水施設については、点検を5年に1回以上と定めました(同条第1項第3号)。
5年に1回以上の対象は、下水道法施行規則第4条の5が決めており、コンクリートなど腐食しやすい材料で造られた暗渠の部分に限られます。場所は、流れの勾配が大きく変わる箇所や高低差の大きい箇所と、伏越室の壁など硫化水素が多く出る箇所、それぞれの周辺です。腐食を防ぐ措置をとった施設は、対象に入りません。対象の排水施設を点検したときは、年月日や実施した人などを記録し、次の点検まで残さなければなりません。
人が管内に入る調査が難しくなる3つの条件
人が下水道管に入って調べるのが難しくなる条件は、管が細いこと、水位と流速が高いこと、管の中の空気が危険なことの3つです。
内径800mm未満の管
潜行目視で人が入る管は、管径800mm以上です。国土交通省のストックマネジメント手法を踏まえた下水道長寿命化計画策定に関する手引き(案)の参考資料が、日本下水道協会の下水道維持管理指針(2003年版)を参考に、管径で調査の方法を分けました。内径800mm以上の本管でも、調査員が潜行するのは歩いて進める場合に限られます。
水位と流速が高い区間
水位と流速が高い区間では、人が管の中を歩いて進むことも、水が急に増えたときに逃げることも難しくなります。国土交通省の資料全国特別重点調査における技術的課題については、身長170cmの人を例に挙げました。水深50cmなら毎秒1.5m程度、水深90cmなら毎秒0.7m程度の流れで、安全に避難するのが難しくなるとしています。水深50cmはひざ、90cmは腰ほどの高さです。
圧送管のように常に水で満たされた管や、流量が多くて水を止められない管は、国のガイドラインでも点検や調査が難しい箇所に挙がっていました。全国特別重点調査の提言は、管内の水位が高くて調査が難しい場合に、住民へ下水道の使用の自粛を求めることにも触れました。
硫化水素や酸欠のおそれがある区間
酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)の測定や換気の義務は、すべての管にかかるわけではありません。義務がかかるのは、労働安全衛生法施行令の別表第6に挙がる酸素欠乏危険場所での作業です。汚水を入れてある、または入れたことのある管やマンホールの内部は、別表第6の第9号に当たります。
第9号の場所での作業は第2種酸素欠乏危険作業とされ、酸欠則は、その日の作業の前に酸素と硫化水素の両方の濃度を測ることを求めています(第3条)。換気では、酸素を18%以上、硫化水素を10ppm以下に保たなければなりません(第5条)。技能講習を修了した者から作業主任者を選び(第11条)、作業の状況を常に見て異常を知らせる人を置くことも必要です(第13条)。
国の手引きは、硫化水素などの有害なガスの濃度が高い管を、点検や調査ができない管に挙げています。国交省の資料「全国特別重点調査における技術的課題について」には、潜行目視の現場で、上流のポンプ施設を止めなければ硫化水素の濃度が安全な値まで下がらず、調査できる時間が限られた例が載っています。降りるためのステップがなく、脚立を使った例もありました。
人を入れずに管内を撮る方法
人を入れずに管内を撮る方法は、カメラを地上から差し込むか、管の中を走らせる・浮かべる・飛ばすかで分かれ、主なものは次の4つです。

- 管口テレビカメラ:伸び縮みする棒の先に付けたカメラを地上からマンホールに入れ、管口から見える範囲を撮る
- 自走式テレビカメラ:カメラを管底に走らせ、管の中を連続して撮る
- 浮流式と水上走行式のカメラ:カメラを水面に浮かべて流したり走らせたりして撮る
- ドローン:水面より上の空間を飛び、管の内面を撮る
テレビカメラ調査について国の手引きは、対象の内径を150〜800mm未満としています。近年は800mm以上の本管に使える機種もあり、流量が多い場合や危険なガスが予想される場合に使うことがある、とも書かれていました。
全国特別重点調査の優先実施箇所のうち、国が政令指定都市などに追加で確かめた区間では、調査を終えた区間の約6割が潜行目視でした。浮流式、水上走行式、飛行式などは約15%です。国交省の資料は、浮流式や飛行式などが、流量が多くて自走式テレビカメラや潜行目視が難しい箇所で多く使われたとしています。
映像の調査で置き換えられる範囲
全国特別重点調査の提言は、管内の調査の方法として、潜行目視と並べてドローンや浮流式を含むテレビカメラを挙げました。
映像で確かめられること
映像で確かめられるのは、国の手引きが管の健全度の評価に使う10の項目で、腐食や破損、クラック、継手のずれ、浸入水などが含まれます。どの項目も、人の目でもテレビカメラでも、管の内側を見て判定するものです。
映像では測れないこと
映像では、コンクリートの強度や管の残りの厚さ、管の外側の空洞、空気中のガスの濃度などを測れません。国は全国特別重点調査の優先実施箇所で、目視調査で緊急度ⅠやⅡに当たらなかった区間にも、リバウンドハンマーによる打音調査などを行う手順を取りました。
ガスの濃度は、検知器で測るほかありません。映像を見た後に人が管に入るなら、酸欠則が定める作業前の測定や換気は、映像の調査をしたかどうかに関係なく必要です。
ドローンで置き換えるときの5つの条件
管内点検ドローンで潜行目視の範囲を撮れるかは、次の5つの条件で決まります。

機体が入れる口径と開口部
管径やマンホールの開口部が機体より小さければ、機体は入れません。清美環は、GPSの電波が届かない管内などを飛ぶための小型のIBIS2と、機体を球体のガードで覆ったELIOS 3の2機を運用し、現場の条件に合うほうを選びます。管径とマンホールの開口部の寸法が図面で分かれば、どちらの機体が入れるかの見通しを立てられます。
水位と堆積の状態
ドローンは管底を走らず水面より上を飛ぶため、水面と管の天井の間に機体が通れる高さが残っているかが条件になります。常に満水の圧送管や、堆積物や障害物で通り道がふさがった区間には入れません。流量が少ない時間帯に飛ばせば、水面より上の空間が広がる区間もあるでしょう。
進入口からの距離と曲がり
1回の飛行で進める距離は、進入口からの距離と管の曲がりで変わります。マンホールから離れるほど、また曲がりの先に入るほど操縦の電波が届きにくくなり、電池の持ちにも限りがあるためです。国交省の資料も、飛行式の課題として曲線部での飛行や位置の把握を挙げていました。マンホールの間隔と曲がりの位置が分かる平面図があれば、どのマンホールから機体を入れるかを決められます。
可燃性ガスの有無
可燃性ガスがたまるおそれのある下水道管では、換気とガスの検知を済ませ、可燃性ガスがないと分かった区間にしか機体を入れません。清美環が管内で飛ばすELIOS 3には防爆の仕様がなく、メーカーの定めでも、可燃性や爆発性の物質がある場所と、そのおそれがある場所は飛ばせる場所から外れています。潜行目視を機体の調査に切り替えても、管の中のガスを確かめる手順はなくなりません。
堆積を見つけた後の清掃
見つけた堆積をそのまま清掃して撮り直せるかも、映像の調査を潜行目視の代わりに使う条件です。国のガイドラインの表は、劣化の程度まで確かめる視覚調査について、調査の前に管路内を洗浄するよう留意事項に書いています。堆積が残ったままの映像には、その下の管底が映りません。
国の手引きも、油脂の付着や樹木根の侵入などの4項目は、清掃などで取り除けない場合に限って健全度の評価に使うと定めました。清掃の会社が別だと、映像を渡して清掃を手配し、撮り直しの日程を組むまで評価が止まります。
データで納品する映像と報告書は、ひび割れや腐食の補修と改築の設計を担う会社への依頼に、そのままお使いください。お手元の管路がドローンで撮れるかは、管径と延長、マンホールの位置、ふだんの水位が分かれば早い段階で見通せます。管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りのご依頼は、お問い合わせページからお送りください。
潜行目視を残す区間の決め方
潜行目視を残すのは、映像で傷みが見つかって人が近くで確かめる必要がある区間と、機体が入れず人なら歩いて進める区間です。全線を先に映像で撮っておけば人が入る区間を絞れますが、強度や残りの厚さ、ガスの濃度は映像では分からないため、打音調査などを行う区間と入る前の測定は別に要ります。
水位や堆積の量、降りるためのステップの有無、段差の位置が映像で先に分かれば、人が入るときに持ち込む脚立や送風機と、調査に使える時間帯を地上で決められるでしょう。強度を確かめる打音調査などは、打音調査を行う会社に、映像と異状の位置を渡して依頼します。
潜行目視の代わりを『フクロウ』に相談
清美環では、潜行目視で調べてきた下水道管やマンホールを、人を入れずに撮れるかどうかのご相談を受け付けています。
相模原市で下水道管や排水管の清掃を30年以上続けてきた清美環は、管内点検ドローン『フクロウ』による調査を、全線を撮って異状の疑われる箇所を絞るスクリーニング調査と、絞った区間を詳しく撮る本格調査の2段階で進めます。
排水管と配水管、受水槽と貯水槽には、機体を入れていません。受水槽と貯水槽は、墜落したときの衛生上の影響を考えて外しました。下水道管とマンホールのほかに機体を入れるのは、焼却炉やタンク、ピットなど設備の内部です。機体はあっても管内を飛ばせる人がいない点検・調査会社からは、操縦だけを請け負う操縦委託も受けています。
無料相談・お見積りはお問い合わせページで受け付けており、お急ぎのときはお電話(042-765-4100、平日9時から18時)でもご相談ください。管径と延長、マンホールの位置図、過去の調査記録、潜行目視で入れなかった区間とその理由をお知らせいただければ、人を入れずに撮れる区間の見通しをお答えします。
