下水道の点検キャパ不足を外注で埋めるとき、足りない距離を埋められるかは、機体の性能よりも、どの順番でマンホールを回って飛ばすかで決まります。管内点検ドローンは1回の飛行で進める距離に限りがあり、1日の進みは、1日に開けられるマンホールの数と、水位が低い時間帯の長さで上限が決まるからです。発注の前には、期限までに残る延長、区間ごとの水位と堆積、マンホールを開けられる時間帯をそろえ、委託先に区間ごとの進み方の見込みを出してもらってください。
清美環は下水道管の清掃を三十年以上続けてきた会社で、管内点検ドローン『フクロウ』で下水道管や薬品タンク、焼却炉の煙突の内部を調べています。中部地方で中規模の下水道管を約100メートル、関西で薬品タンクの内部、北陸で焼却炉の煙突を高さ約30メートルにわたって調査してきました。首都圏を中心に、全国の現場へ出向いてきました。
点検キャパ不足は、人が足りないのか機材が届かないのかで埋め方が変わる
下水道の点検キャパ不足のうち外注で埋められるのは、人と日数が足りずに回りきらない場合と、自社の機材が止まって先へ進めない場合の2つです。セイスイ工業株式会社が2026年6月に、全国の自治体で下水道事業に携わる職員108名へ行ったインターネット調査があります。点検・予防修繕を進めるうえでの課題として、50.9%が「点検や工事を監督する自治体職員(人手)が不足している」を選びました。
人と日数が足りない区間を埋めるのは、委託先が1日に進める距離です。自社のTVカメラ機材が段差や急勾配、高い水位で止まる区間を埋めるのは、そこまで届く手段のほうでしょう。同じ外注でも、前者なら委託先の進みの速さを、後者なら機体が届く条件を比べることになります。
管内点検ドローンの1日の進みは、飛ぶ速さより段取りの回数で決まる
管内点検ドローンが1日に進める距離は、機体が管の中を飛ぶ速さではなく、マンホールを開けてから閉めるまでの段取りを何回こなせるかで決まります。1回の飛行で進める距離には限りがあるため、長い路線はマンホールの間ごとに区切って、進入するマンホールを移りながら飛ばさなければなりません。

マンホール1か所ごとに、次の4つの作業が入ります。
- 蓋を開け、周りに交通規制や立入禁止の囲いを置く
- 安全計画で定めた箇所では、管内の酸素濃度と硫化水素を測る
- 機体を下ろして飛ばし、映像がそろったかを確かめて回収する
- 蓋を閉めて規制を解き、次のマンホールへ機材を運ぶ
1日の進みを増やすには、飛ぶ速さを上げるより、1日に開けるマンホールの数を増やすほうが効きます。1つのマンホールから上流側と下流側の両方へ飛ばせれば、1回の開口で2区間を押さえられる場合もあるでしょう。
見落とされがちなのが、撮り残しで同じマンホールをもう一度開ける手間です。管の中には衛星の電波が届かず、操縦者は機体から送られてくる映像を見て壁との距離を確かめながら進めます。撮った映像をその場で確かめてから蓋を閉めれば、同じマンホールへ戻らずに済むでしょう。
1日の進みが落ちる3つの条件
管内点検ドローンの進みが落ちるのは、水位が高い区間、堆積や粉じんで視界が悪い区間、マンホールを開けられる時間が短い区間の3つです。
水位が高い区間
飛ぶ機体は水面より上の空間を進むため、水位が管の上部近くまで上がる区間では飛ぶ空間が残りません。雨の後や流入が増える時間帯に水位が上がる管路では、水位が下がるのを待って飛ばすことになり、1日に飛べる時間が縮みます。発注前に、区間ごとの水位の変わり方を時間帯で委託先へ伝えてください。
堆積や粉じんで視界が悪い区間
汚泥や土砂が管底にたまった区間では、映像を撮っても堆積の下のひび割れや継ぎ手のずれは見えません。堆積の下まで確かめる必要があれば清掃の後に撮り直すことになり、同じ区間を2回飛びます。粉じんや水面の反射で映像がかすむ区間では、操縦者が機体を進める速さを落とすため、同じ距離でも時間は余計にかかるでしょう。
マンホールを開けられる時間が短い区間
交通量の多い道路の下を通る管路では、蓋を開けて規制を置ける時間帯が夜間などに限られることがあります。道路上で蓋を開けて規制を置くには、その場所を管轄する警察署長の道路使用許可が要り、作業できる時間帯が許可の条件として付くこともあります。1日に開けられるマンホールの数がそのまま進みの上限になるため、道路ごとの作業できる時間帯を、日数を見積もる前に確かめてください。
足りない距離を埋める4つの進め方
足りない距離を埋める進め方は、詳しく見る区間を絞る、自社の班と区間を分ける、機体を区間ごとに選ぶ、清掃まで同じ発注に含める、の4つです。

スクリーニング調査で詳しく見る区間を絞る
清美環のドローン点検は、対象の全体を先に飛んで異状が疑われる区間をふるい分けるスクリーニング調査と、絞った区間を詳しく見る本格調査の2段階で進めてきました。全区間を最初から本格調査の細かさで撮らないため、詳しく見る時間を異状が疑われる区間に回せます。スクリーニングの映像をそのまま調査結果として使えるかは、発注仕様書が求める記録の細かさで変わるため、映像をどの記録に使うかを契約前に委託先と決めておいてください。
自社の班と委託先で区間を分ける
自社のTVカメラ班が進める区間と、ドローンに任せる区間を分ければ、同じ日に2か所で調査が進みます。TVカメラが止まる段差・急勾配・高い水位の区間と、人が入って見る予定だった大きな管をドローンへ回し、それ以外を自社の班に残すのが分け方の目安です。
機体を区間の条件で選ぶ
清美環は、非GPS環境向けで小型のIBIS2と、球体のガードで囲ったELIOS 3の2機体を、区間の条件で使い分けてきました。狭く入り組んだ管には小型のIBIS2を、壁や障害物に当たる危険が高い区間にはガード付きのELIOS 3を選びます。
清掃まで同じ発注に含める
清美環は本業が管の清掃なので、点検で見つけた堆積や詰まりをそのまま清掃まで引き受けてきました。清掃会社を別に手配すると、日程の調整を待つ間、その区間の調査が止まります。見積りの段階で、清掃と清掃後の撮り直しを同じ発注に含められるかを聞いてください。
対象区間の延長と口径、マンホールの数、水位の変わり方、期限をお聞かせいただければ、どの区間をドローンに任せられるかと、近い条件の事例をもとにした進み方の見込みを区間ごとにお答えします。管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りは、お問い合わせページからお寄せください。
期限から逆算して、委託する距離と日数を決める
委託する日数は、外に出す区間の数を1日に回れる区間数で割り、清掃の日と予備日を足して決めます。手順は次の3つです。
- 期限までに残る延長から、自社の班が期限までに回せる延長を引き、外に出す区間を決める
- 外に出す区間を、水位の低い時間帯とマンホールを開けられる時間帯で並べ、1日に回れる区間数を出す
- 堆積の多い区間には清掃の日を足し、雨の後に水位が下がるまでの予備日を取る
自社の班が回せる延長は、これまでの調査で1日に進めた距離に、期限までの稼働日数を掛けて出してください。区間の一覧に口径、水位、堆積、マンホールを開けられる時間帯を書き込んで渡せば、委託先は1日に回れる区間数を見積もれます。
機体はあるのに飛ばす人が足りない場合
管内点検用のドローンを持っていても、非GPSの暗い管内を飛ばせる操縦者が足りなければ、点検の距離は伸びません。屋外の空撮で飛ばし慣れた人でも、衛星の電波が届かない管内では、映像を見て壁との距離を測り、狭い空間で機体の姿勢を保つ別の技能が要ります。清美環は、点検・調査会社からの依頼に応じて、機体は依頼元のものを使い、操縦だけを引き受けてきました。
管内点検ドローンで埋められる点検と埋められない点検
管内点検ドローンで埋められるのは、機体が入れる口径がある下水道管とマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー本体、ピット内、天井裏、ダクト内といった閉鎖空間の点検です。宅内の排水管や水道の配水管は口径が小さく機体が入らないため、TVカメラや内視鏡で調べる領分になります。受水槽や貯水槽は、墜落したときの衛生上の影響が大きいため対象から外しました。路面の下の空洞を探す空洞調査や、管の壁をたたいて調べる打音調査も、ドローンの映像では代えられず、別の手段が要ります。
下水道の点検キャパ不足は『フクロウ』にご相談ください
下水道の点検キャパ不足を外注で埋めるなら、足りないのが人と日数か、機材の届く範囲かを分け、期限から逆算して外に出す距離を決めてください。外に出す距離が決まったら、委託先には1日に何か所のマンホールから入る前提か、水位と堆積で進みがどう変わるか、清掃まで同じ発注で頼めるかを確かめます。
清美環は、非GPSの管内を映像を見ながら飛ばす操縦者と、IBIS2とELIOS 3の2機体、三十年の管清掃の経験で、下水道管やマンホール、焼却炉、大型タンクの点検を引き受けてきました。機体をお持ちで飛ばす人が足りない点検・調査会社からの、操縦だけのご依頼にも対応しています。
管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。操縦だけのご相談は操縦委託のお問い合わせからお寄せください。
