配管内部の損傷は、映像に写った状態を損傷の種類ごとに分け、下水道管路なら国土交通省の検討会が示した診断基準(案)に当てはめて読みます。腐食なら骨材や鉄筋が露出しているか、クラックなら幅が2mm以上か、浸入水なら噴き出ているか、流れているか、にじんでいるかを見る、という読み方です。見落としが起きやすいのは、汚泥や土砂の堆積、管内の水が壁を隠している区間でしょう。堆積そのものが、浸入水を示している場合もあります。
映像で分かるのは管の内面の表面までです。ドローンの映像でクラックの幅を測ることも、国土交通省の資料では基本的に難しいとされました。管の厚さや強度、管の外の空洞は、別の調査で確かめることになります。発注の前に、映像をどこまでの判定に使うのか、写らなかった区間をどう記録するのかを、委託先と決めておいてください。
清美環は、相模原市で30年以上、下水道管や排水管の清掃を続けてきた会社です。
配管内部の損傷確認は国の検討会が示した健全度の区分で読む
国土交通省が設けた検討会は、2026年10月の下水道管路マネジメントのための技術基準等に関する検討とりまとめで、下水道管路の状態を次の5つに区分する案を示しました。
- 健全度Ⅳ:緊急措置段階
- 健全度Ⅲ:早期措置段階
- 健全度Ⅱ:要監視段階
- 健全度Ⅰ:健全
- 診断保留:十分な点検ができないなど、明確な診断が難しい状態
健全度は、マンホールの間の区間ごとではなく、異状のある箇所ごとに付けます。旧基準の診断結果を見直すときは、点検当時の画像などから診断し直すのが原則とされました。ランクA〜C・a〜cから健全度への読み替え(Aとaは健全度Ⅳ、Bとbは健全度Ⅲ、Cとcは健全度Ⅱ)が使えるのは、統計整理した劣化予測を行う場合などです。区間全体に付けてきた緊急度Ⅰ〜Ⅲは、そのまま健全度に読み替えられません。
検討とりまとめの診断基準は下水道管路を対象にしており、プラントの配管やダクト、タンクにはそのまま当てはまりません。プラント設備の点検を頼むときは、社内で使っている判定の基準を、撮影の前に委託先へ渡しておきましょう。
損傷の種類ごとに映像に写る状態と見落としやすい点
鉄筋コンクリート管について国土交通省の検討会がまとめた診断基準(案)では、腐食やクラックなどの項目ごとに、健全度を分ける状態を決めました。

腐食は骨材と鉄筋の露出で区分し、原因は映像で決めない
腐食の区分は、骨材(コンクリートの中の砂や砂利)と鉄筋のどちらが露出しているかと、その露出が局所的か広範囲かで分かれます。表面の荒れか骨材だけの局所的な露出なら健全度Ⅱ、骨材だけの広範囲な露出か鉄筋だけの局所的な露出なら健全度Ⅲです。鉄筋が広範囲に露出しているか、骨材が広範囲に露出したうえ鉄筋も局所的に露出していれば、健全度Ⅳとされました。硫化水素以外が原因の腐食では、腐食した鉄筋から錆汁が出ている状態も健全度Ⅱに入ります。
映像で骨材の露出が見えても、硫化水素による腐食か、中性化や摩耗、風化によるものかは決められません。検討会のとりまとめでは、外見だけを見て「腐食」とまとめて診断された例があったことから、管壁のpHや硫化水素ガスの濃度を測って原因を分け、診断することにしました。
破損とクラックは幅2mmが区分の境目になる
鉄筋コンクリート管のクラックは、最大幅2mm未満なら健全度Ⅱ、2mm以上なら健全度Ⅲです。管の一部が欠け落ちた欠落と、2mm以上のクラックから浸入水が流れている以上の状態は、健全度Ⅳに当たります。
2mmの境目を映像で見分けるのは簡単ではありません。国土交通省の資料は、飛行式のドローンも、水に浮かべて流す浮流式のカメラも、クラック幅の計測は基本的に難しいとしています。検討会のとりまとめは、2mm以上かどうかの判断が難しいときに、安全を確保する側の区分にするなどの工夫を求めました。
塩ビ管では、クラックが部材を貫通していると考えるため、幅ではなくクラックの有無と浸入水の状態で診断します。鉄筋コンクリート管で前回の診断からクラックの幅や長さが進んでいれば、必要に応じて追加の調査で構造の安全を確かめるとされました。
継手のずれは脱却と幅70mmで分ける
鉄筋コンクリート管の継手のずれは、継手が外れた脱却が健全度Ⅳ、ずれの幅70mm以上が健全度Ⅲ、70mm未満が健全度Ⅱです。塩ビ管では、管どうしの接合長さの2分の1を区切りにします。
国土交通省の「下水道事業のストックマネジメント実施に関するガイドライン」によると、継手が脱却しているなどの場合は、ずれた箇所から地下水や土砂が流れ込みかねません。ずれの幅を読んだら、同じ継目に浸入水の跡や土砂が写っていないかも見てください。
浸入水はにじんだ跡も記録の対象になる
浸入水の健全度は、噴き出ている状態がⅣ、流れている状態がⅢ、にじみ出ている状態がⅡで、健全度Ⅱにはにじんだ痕跡も含まれます。撮影の日に水が出ていなくても、壁ににじんだ跡が写っていれば記録の対象です。報告書で浸入水なしとされた区間について、跡をどう扱ったかが書かれているかを確かめてください。
たるみは内径に対する割合で区分し、堆積が続く区間で確かめる
上下方向のたるみは、管の内径に対するたるみの大きさで区分され、区切りの割合は内径によって変わります。たとえば内径700mm未満の管では、内径以上のたるみが健全度Ⅳ、内径の2分の1以上が健全度Ⅲです。
国のストックマネジメントのガイドラインは、たるみを流下物の堆積や下水があふれる原因に挙げました。堆積が続いて写る区間では、清掃で済む汚れと決めずに、たるみがないかも映像で確かめましょう。
木根の侵入は詰まりとしてだけ読まない
木根の侵入は、詰まりとしてだけ読むと管の傷みを見落とします。国土交通省の事例集に載る豊中市の整理では、木根の侵入は管のクラックや継ぎ手から進み、流れを妨げる閉塞と管の劣化の両方に当たるとされました。根が写った位置では、根元のクラックや継ぎ手の隙間も確かめましょう。
油脂の付着や取付け管の突出しなどは、国のストックマネジメントのガイドラインで、箇所ごとに手を打てるため原則として修繕で対応するのが望ましいとされています。
汚泥・水位・撮り方で損傷が写らなくなる条件
映像で損傷を見落としやすいのは、汚泥や土砂の堆積、管内の水が壁を隠している区間と、カメラの向きや照明が損傷をとらえていない場面でしょう。

洗浄と側視をしていない映像は絞り込み用
管路内を洗浄せず、カメラを壁へ向ける側視もせずに撮った映像は、国のストックマネジメントのガイドラインでは、調べる区間を絞り込むスクリーニングの位置づけです。損傷の程度を確かめる視覚調査では、洗浄してから調べ、側視も行うとされています。
土砂の堆積は損傷を隠し、損傷の手がかりにもなる
土砂の堆積は、清掃して流せば済む汚れとは限りません。国土交通省の検討会のとりまとめは、管内に土砂の目立った堆積や流れ込みが見られるときは、浸入水が周りの土砂を引き込んでいるおそれがあると注意を促しました。
水面より下は飛行式のドローンでは写らない
管内に水が残る区間では、飛行式のドローンは水面より上の壁しか撮れません。埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて各自治体が進めた、下水道管路の全国特別重点調査でも、大口径の管路では水位や流速のために画像が不鮮明になり、明確な診断ができないまま残った箇所がありました。検討会のとりまとめは、明確な診断が難しい箇所を「診断保留」とし、その時点の状態と対応を記録して、のちの監視に生かすよう求めています。
水位は、撮る時間帯や上下流の操作で下げられることがあります。全国特別重点調査で政令指定都市などが合流管や汚水管を調べたときには、夜間などに作業時間を合わせる、上流の管内に下水を貯める、下流のポンプを続けて運転する、といった方策が使われました。飛行式のドローンは浮流式のカメラより使える水位の範囲が狭いため、水位を下げられる時間帯を、撮影の日を決める前に管理者と確かめておいてください。
照明の向きと距離で表面の凹凸の見え方が変わる
壁の凹凸は、光を当てる向きで見え方が変わります。ELIOS 3のメーカーは、壁に斜めから光を当てて凹凸に影をつくり、くぼみやひび、付着物を見つけやすくする照明を備えていると説明しています。
飛行式のドローンは異状のある箇所に近づいて撮れ、水の流れの影響も受けないため、国土交通省の資料では浮流式のカメラより画質が一般に良いとされました。ただし風の影響は受けます。
清美環は、点検で見つかった汚泥や土砂の堆積を本業の清掃でそのまま取り除くところまで引き受けています。堆積の清掃まで含めた下水道管路やタンク、プラント設備の点検について、お問い合わせページから無料相談・お見積りのご依頼をお寄せください。
映像では決められないことと、組み合わせる調査
映像で決められるのは管の内面に写った状態までで、次の3つは別の調査や測定で確かめます。
- 管の厚さや強度:管厚の測定や打音調査など
- 管の外側の空洞:路面や管路内からの空洞調査
- 管内のガスの濃度:ガス検知器による測定
映像で異状が見えなかったことは、管が健全だという証明になりません。全国特別重点調査のうち、腐食しやすいなど弱点を持つ優先実施箇所では、目で見る点検で対策が要るとされなかった箇所にも打音調査などを行い、目では分からなかった異状を見つけた事例や、路面下の空洞を確かめた事例がありました。
国土交通省の検討会のとりまとめは、飛行式のドローンを、現状の一般的な技術レベルでは概略点検(健全度Ⅰかそれ以外かを判定する点検)に当たるとしました。十分な視認性があり、健全度を区分できる場合などは、詳細点検として扱えるとしています。
発注前に委託先と決めておく6つのこと
配管内部の損傷確認を外注するとき、撮影の前に委託先と決めておくことは次の6つです。
- 判定の基準:健全度で区分するか、ランクと緊急度で表すか。映像を概略点検にとどめるか、詳細点検として扱うか
- 撮影前の洗浄:管路内を洗浄してから撮るか、絞り込みのために洗浄せず撮るか
- 撮影の時間帯:水位が下がる夜間などに合わせられるか
- 疑わしい箇所の撮り方:壁にカメラを向け、寄って光の向きも変えて撮るか
- 写らなかった区間:診断保留とした位置と理由、その日の水位や堆積をどう残すか
- 動画と前回の記録:区間全体を続けて撮った動画を残し、前回の記録と比べるか
区間全体を続けて撮った動画は、異状のない箇所も含めて残すと経年の変化を確かめやすいと、国土交通省の検討会のとりまとめは整理しました。前回の映像や点検記録を委託先に渡しておけば、クラックの幅や長さが進んだかを同じ箇所で比べられます。
清美環が撮る設備と、機体を入れる前の確認
清美環の管内点検ドローン『フクロウ』が撮るのは、機体が入れる口径の下水道管路とマンホールのほか、タンクや焼却炉、ボイラー、ピット、ダクトなどプラント設備の内部です。建物の排水管や水道の配水管は、清美環では機体を入れる対象にしていません。
損傷を撮る機体は、現場の条件に合わせて、球体のガードを備えたELIOS 3と、非GPS環境向けに作られた小型のIBIS2から選びます。先まで撮れるかは、口径・水位・堆積・段差に加え、進入口からの距離と曲がりで電波と電池が持つかにも左右されます。
可燃性ガスがたまるおそれのある管路や設備では、換気とガス検知で可燃性ガスがないことを確かめるまで、機体を入れません。ELIOS 3は防爆仕様の機体ではありません。メーカーも、可燃性や爆発性の物質がある場所や、そのおそれがある場所では飛ばさないよう定めています。
損傷が疑われる箇所は、区間全体を撮るスクリーニング調査で絞り込んでから、本格調査で詳しく撮り、映像と報告書はデータで納品します。
配管内部の損傷確認は『フクロウ』にご相談ください
配管内部の損傷確認は、下水道管やタンク、プラント設備の内部を映像で調べる点検調査を行う清美環にご相談ください。機体を持っていても管内を飛ばす操縦者がいない点検・調査会社からの、操縦委託のご相談も受け付けています。
図面や前回の点検記録、撮った映像があれば、ご相談の際にお知らせください。無料相談とお見積りはお問い合わせページで受け付けており、お電話(042-765-4100、平日9時から18時)でもご相談いただけます。
