排水管の劣化判定では、管内の映像に映る色・付着物・管の形を分けて読み、管そのものが痩せたり形を変えたりしていないかを確かめます。赤茶色の錆や白い油脂の層が映っていても、色と付着物だけで管が傷んでいるとは決められません。付着物の下や管の外側のように映像に映らない部分は、判定を保留して別の調査に回すのが基本です。
点検の映像と報告書を受け取ったものの、所見に「腐食あり」「付着物多し」とだけ書かれ、何を根拠にそう判定したのかが分からないまま、更新か清掃かを決めなければならない場面もあるでしょう。下水道管や排水管の清掃を本業にしてきた清美環の立場から、映像のどこを見れば劣化と汚れを分けられるのかを、管の材質による違いとあわせてお伝えします。
当社の管内点検ドローン『フクロウ』は、機体が入れる口径の下水道管路やタンク、プラント設備の内部を点検します。
排水管の劣化判定は色・付着・形を分けて読む
排水管の劣化判定とは、管の壁が腐食で薄くなっていないか、穴やひびが開いていないか、形が変わっていないかを決めることです。

管内の映像では1つの画面に色・付着・形の3つが重なって映るため、鋼管の内面に赤茶色の盛り上がりが見えても、錆の色をした汚れの層が乗っているだけなのか、管の壁が腐食して盛り上がった錆こぶなのかは、色だけでは見分けられません。盛り上がりの下の地肌が見えないときは、付着物を落として撮り直してから判定してください。
読み始める前に、図面(竣工図)で管の材質を確かめておきます。鉄でできた鋼管や鋳鉄管と、樹脂でできた塩ビ管とでは、同じ色や同じ付着物が意味するものが違うためです。
管内の色で分かることと分からないこと
管内の色からは、映っているものが鉄の錆か、管の上に乗った汚れの層かという見当までしかつきません。
赤茶色は、鉄の管なら錆、塩ビ管なら付着物
鋼管や鋳鉄管の中に見える赤茶色は、まず管の鉄が酸化してできた錆を疑います。錆がこぶのように盛り上がった錆こぶは管の壁の鉄が腐食してできたもので、こぶの下では壁が削られていると見て、厚みの確認に回します。鋼管のねじを切って継いだ部分は、ねじの溝の分だけ壁が薄いため、赤茶色が集まっていれば優先して見る箇所になるでしょう。
塩ビ管の中に赤茶色が見えても、塩ビ管そのものは錆びません。上流の鉄の管や水に含まれる成分から運ばれてきた付着物の色と読み、管の劣化とは分けて扱います。
黒と白は、まず付着物の色を疑う
黒や白の色を見たときは、管の地肌より先に付着物の色を疑ってください。黒は、汚泥や黒ずんだ油脂でも、鉄の腐食でできた物質でも現れるため、黒だけでは劣化かどうかを決められません。鉄の管で黒い部分の縁に赤茶色が混じっていれば腐食の側を疑い、塩ビ管であれば付着物と読みます。
白っぽい色を見たら、冷えて固まった油脂や、水や尿の成分が固まった層を先に疑いましょう。白い層の切れ目から赤茶色がのぞいていれば、付着物の下で鉄の管が錆びていることを疑います。
見落とされがちなのが、色の見え方はカメラの照明の色や明るさ、レンズの汚れでも変わるという点です。別の日に別の機材で撮った映像どうしで色を比べず、同じ映像の中で、汚れの少ない区間との違いとして読んでください。
付着物は厚みと付いている高さで読む
付着物から劣化を読むときに見るのは、付着の厚みと、管の断面のどの高さに付いているかの2点です。
付着の厚みは、管の内径がどれだけ狭まって見えるかで読んでください。厚い付着は流れを細らせるだけでなく、下にある管の地肌を隠します。マンションリフォーム推進協議会は排水管の劣化調査の解説で、配管の内面に油や毛髪、野菜くずが付き、汚泥状に積もると腐食が進むと説明しました。付着物の下で腐食が進む以上、付着が厚く長く続いた区間ほど、隠れた管の壁を疑うべきでしょう。
付着の高さからは水の流れ方が分かり、管の底にだけ厚く溜まった付着は、水が流れ切らずに留まる区間に現れます。横引き管にたわみや勾配の不足があると、水が一定の高さまで溜まり、付着物がその水面の高さで帯のように残ります。帯が管に沿って続いていれば、付着だけでなく管の傾きや形にも原因があると見て、形の確認につなげましょう。
付着物の種類は、どの器具から来た系統かで見当がつきます。台所の系統では油脂の層、便所の系統では尿の成分が固まった尿石、浴室や洗面の系統では毛髪と石けんかすが絡んだ層が中心でしょう。
管の形の変化で判定する異状
管の形の変化は、色や付着と違って、管そのものに異状が起きている直接の証拠になります。
鉄の管で見る凸凹と穴
鋼管や鋳鉄管では、錆こぶが増えて内面が凸凹になり、断面が円から崩れていく変化が、劣化の進み方を示します。凸凹の中に周りより暗く深いくぼみがあれば、腐食が壁を貫きかけている穴を疑ってください。映像では穴が貫通しているかまでは決められないため、候補として位置を記録し、壁の厚みを測る調査へ回しましょう。
塩ビ管と土に埋まった管で見る割れ・つぶれ・ずれ
塩ビ管は錆びない代わりに、外から力を受けると割れたり、楕円につぶれたりします。断面が楕円に見えたときは、先にカメラが管の中心からずれていないかを確かめてください。広角のレンズは画面の端ほど形をゆがめるため、断面が画面の中央に収まった位置で形を判断します。
継手で管の口どうしの高さがずれて段差になっていれば、据え付けた後に管が動いたか、据え付けのときからずれていたと読みます。土に埋まった管で継手の隙間やひびから木の根や土砂が入り込んでいれば、根や土砂が映る位置に、管の壁か継手を貫く隙間があると見てよいでしょう。
下水道管路では劣化の出る場所が変わる
下水道管路でも色・付着・形を分けて読む手順は同じですが、劣化が出やすい場所が排水管とは違います。建物の鋼管の排水管が水の流れる管底の側やねじを切った継手で傷みやすいのに対し、硫化水素が発生するコンクリートの下水道管で傷みやすいのは水面より上の側です。
では、なぜ水面より上の側から傷むのか。下水から出た硫化水素が、水面より上の濡れた壁で細菌の働きによって硫酸に変わり、コンクリートを溶かすためです。腐食が進むと表面が荒れて中の骨材(砂利)が見え、さらに進めば、鉄筋コンクリート管では鉄筋が露出します。色と形で読むなら、管の上側の壁が周りと違う色や質感になっていないかを最初に見てください。
建物の排水管には、掃除口や器具を外した口から内視鏡やファイバースコープを差し込みますが、下水道管路にはマンホールから自走式のテレビカメラや管口カメラを入れるのが一般的でしょう。
機体が入れる口径の下水道管路では、管内点検ドローンを飛ばして内壁を撮る方法もあります。水位が残る区間でも、水面と堆積物より上に機体を飛ばせるだけの空間があれば、管の上側の壁を撮影できます。清美環が運用する機体は1種類ではありません。非GPS環境向けの小型機IBIS2と、球形のガードに覆われたELIOS 3を、管の太さや中の障害物に合わせて使い分けます。清美環が使うELIOS 3は防爆仕様の機体ではなく、メーカーは可燃性や爆発性の物質がある、またはあるおそれのある場所では飛ばさないよう定めています。建物の排水管や配水管は、清美環が機体を入れる対象にしていません。
下水道管路のどの区間に機体を入れられるかは、管の太さ・材質・点検口(マンホール)の位置で変わるため、事前のご相談で図面をもとに確かめます。下水道管路やタンク内部の点検について、無料相談とお見積りのご依頼はお問い合わせページからお寄せください。
映像では劣化を判定できない3つの場面
映像では劣化を判定できないのは、付着物に隠れた壁、壁の厚み、管の外側の傷みの3つです。映像に映るのは管の内側の表面までで、壁の奥や外側は映りません。

付着物や水で地肌が見えない区間
付着物で地肌が見えない区間は、「異状なし」ではなく「判定保留」として扱います。水に沈んだ区間や、曇りで像がぼやけた区間も同じ扱いです。保留にした区間は、付着物を高圧洗浄で落とすか、水の少ない時間帯を選んで撮り直し、地肌の色と形で判定し直してください。高圧洗浄では、曲がり部でノズルやホースが擦れて管の内面を傷めることがあります。
錆こぶの下や暗いくぼみの壁の厚み
錆こぶの下や暗いくぼみで管の壁がどれだけ残っているかは、映像では測れません。管の外側から超音波を当てて残りの厚みを測る超音波調査、管を透かして内部を写すX線調査、管の一部を切り出して断面を調べるサンプリング調査が、映像で見つけた候補を確かめる方法です。超音波とX線は、管の外側に機材を当てられることが前提です。映像で穴の候補を見つけた位置を伝えておくと、測る場所を絞り込めるでしょう。
管の外側から進む腐食
管の外側から進む腐食も、内側の映像には映りません。結露しやすい場所を通る管や土に埋まった管は外側から傷むことがあり、東京理学検査は配管劣化診断の手法の一つに外面腐食調査を挙げています。内側の映像で「異状なし」とされた報告書は、外側を見ていない前提で読んでください。
劣化診断を業者に頼むとき、所見に書いてもらう4点
排水管の劣化診断を業者に頼むときは、映像の所見を次の4点に分けて書いてもらうと、判定の根拠を自分で確かめられます。
- 管の材質 鋼管・鋳鉄管・塩ビ管のどれか、図面と現地のどちらで確かめたか
- 色・付着・形を分けた所見 「腐食あり」とまとめず、何色の何がどんな形で映っていたか
- 異状の位置 カメラを差し込んだ口からの距離と、管の断面を時計の文字盤に見立てた向き(真上を12時とする)
- 判定保留の区間 付着物や水、曇りで地肌が見えず、判定しなかった区間とその理由
位置の記録があれば、次の点検で同じ口から同じ向きに撮り直し、錆こぶの大きさや付着の高さを前回の映像と並べて比べられます。業者を比べるときは、過去の報告書に材質・所見・位置・保留区間が書かれているかを見せてもらうと、所見の書き方の違いが分かるでしょう。
下水道管路やタンクの内部点検は『フクロウ』へ
排水管の劣化判定は、色・付着・形を分けて読み、付着物の下や壁の厚み、管の外側は映像で決めずに、保留と別の調査に回すのが基本です。
清美環の管内点検ドローン『フクロウ』が担うのは、機体が入れる口径の下水道管路とマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー本体、ピット、ダクト、天井裏、プラント設備の内部です。調査は、まず全体を撮って異状の候補を拾うスクリーニング調査と、候補の区間を詳しく撮る本格調査の2段階。映像と報告書はデータで納品します。点検で堆積や詰まりが見つかれば、本業の清掃までまとめてお引き受けしています。
ドローンはあるものの管内で飛ばせる人がいない点検・調査会社の方は、操縦委託もご相談ください。
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