タンクや焼却炉、下水道管といった密閉空間の点検をドローンに切り替えたとき、減る費用は点検作業の単価ではありません。減るのは、人を中に入れるために払っていた足場、設備の停止、立ち入り前の安全措置の三つです。どれがどこまで減るかは、設備の形と、点検で何を確かめたいかによって決まります。
ドローン点検の費用は、機体の価格やサービス単価の比較で語られがちでしょう。しかし下水道管や排水管の清掃を三十年以上続け、管内点検ドローン『フクロウ』でタンクや管の内部を飛ばしてきた清美環の立場から言えば、見積の総額を動かしているのは点検の前後の工程でした。三つの費目が減る条件と減らない条件を、発注前に確かめる項目とあわせてお伝えします。
密閉空間の点検費用を占める3つの費目
密閉空間の点検費用のうち、ドローンに切り替えて減る可能性があるのは、次の3つの費目です。

- 足場 内部に足場や仮設のステージを組み、点検後に解体して搬出するまでの費用
- 設備の停止 点検のために設備を止めている期間に失う生産と、止めるための段取り
- 立ち入り前の安全措置 酸素濃度や硫化水素の測定、換気、作業主任者の選任、監視人の配置
3つとも、点検の成果である映像や所見を生む費用ではありません。人が内部に入って目視するという前提から発生する費用であり、開口部から機体を入れて撮影する方式にすると、前提そのものが外れます。一方で、点検計画、映像の読み解き、報告書の作成といった点検作業の費用は、ドローンにしても減りません。
足場の費用がなくなる条件と残る条件
足場の費用がなくなるのは、点検の目的が内部を映像で確かめることで、機体を入れる開口部と飛ばせる空間がある設備の場合です。
高さのある大型タンクや焼却炉、煙突、ボイラー本体を人が点検するには、内部に足場を組み、終われば解体して運び出します。機体を飛ばす方式では、搬入するのは機体と操縦機材だけになり、足場の設置から撤去までの費用が見積から抜けました。当社の現場での目安では、足場が不要になったことで、現場により数百万円単位の削減につながっています。削減の幅は、それまで組んでいた足場の高さと容積で変わってきました。
ドローンにしても足場が残る場合
打音や触診のように、人が壁に触れて確かめなければ判断できない項目がある点検では、足場が残ります。映像だけでは、こうした項目を代えられないためです。
点検の結果、補修工事が決まった場合も、補修のための足場は必要でしょう。ドローンで減るのは、補修が要るかどうかを確かめるためだけに組んでいた足場のほうです。補修の要らない箇所を先に映像で除いておけば、足場を組むのは補修が決まった設備だけになるでしょう。
設備を止める費用が減る条件
設備停止の費用が減るのは、足場の組立と解体に要する日数が、停止期間の長さを決めている場合です。
人が内部に入って点検する設備は、点検のあいだ運転を止めます。足場を組む日と解く日は点検作業と並行できないため、そのまま停止期間に上乗せされてきました。機体だけが入って撮影して出てくる方式なら、足場に充てていた日数が停止期間から抜け、止めている日数に比例する生産の損失も小さくなります。
人が中で長く作業する前提の待ち時間も、一部を省ける現場がありました。どこまで省けるかは、機体が耐えられる内部の温度と、社内の安全基準で変わります。一方、液面の下や堆積物に覆われた内壁は撮影できないため、タンクの内壁全体を見るなら内容物の抜き取りは残ります。
停止日数が変わらない場合
点検以外の工事が停止期間を決めている場合は、点検が早く終わっても停止日数は変わりません。定期修理で複数の設備をまとめて止め、ほかの設備の整備がいちばん長くかかっているなら、点検の日数を詰めても運転を再開する日は同じです。この場合にドローンで減るのは足場と安全措置の費用で、停止による損失は減らないと考えてください。
立ち入り前の安全措置が要らなくなる範囲
立ち入り前の安全措置が要らなくなるのは、人が内部に立ち入らずに点検を終えられる場合です。
長く密閉されていた鋼製のタンクや、汚水・汚泥を入れている、または入れたことのある槽やマンホールの内部などは、労働安全衛生法施行令の別表第6で酸素欠乏危険場所とされています。酸素欠乏危険場所で作業をさせるとき、事業者は酸素欠乏症等防止規則にもとづく措置を取らなければなりません。作業を始める前の酸素濃度などの測定、換気、作業主任者の選任、作業する人への特別教育、監視人の配置といった措置です。
機体を開口部から入れて撮影する方式なら、内部に入る人がいないため、入るための測定や監視の体制は組まずに済みます。ただし開口部を開ける作業や、開口部のそばでの操縦はなくなりません。可燃性のガスが出るおそれのある設備では、機体を入れる前に換気とガスの検知を済ませなければなりません。点検で堆積や損傷が見つかり、清掃や補修で人が入る段階では、安全措置が改めて必要になるため、点検だけで3つの費目がすべて消えるわけではありません。
ドローンで点検できる密閉空間とできない設備
管内点検ドローン『フクロウ』で点検できるのは、機体を入れる開口部と、飛ばせるだけの内部空間がある設備です。
対象になるのは、下水道管とマンホール、焼却炉、球体や円筒の大型タンク、ボイラー本体、ピットの内部、ダクトの内部、天井裏、プラント設備の内部です。下水道管では、水位が残っていても水面より上の空間を飛んで内壁を撮影してきました。
口径の小さい排水管や配水管には、機体が物理的に入りません。受水槽や貯水槽も、万一機体が落ちたときに衛生面へ影響が出るため、点検の対象から外しています。排水管や配水管の点検は、内視鏡やTVカメラなど、管の太さに合った別の方法で行うことになるでしょう。
自社の設備でドローンが使えるか、足場と停止と安全措置のどれが減るかは、図面と開口部の寸法、いまの点検で組んでいる足場と停止日数が分かれば、早い段階でお答えできます。管内やタンク内部の点検の無料相談とお見積りは、お問い合わせページからお寄せください。
ドローンにしても減らない費用
ドローンに切り替えても減らないのは、点検計画と現地確認、映像の読み解きと報告書の作成の費用です。撮り切れずに再訪することになれば、減らしたはずの費用がもう一度かかります。
撮り切れなかったときの再訪
密閉空間には衛星の電波が届かず、GPSで位置を保つ屋外の飛ばし方は使えません。暗く、壁が近く、粉塵や水面が視界を乱すなかで、オペレーターは機体から届く映像を見ながら操縦します。予定した範囲を撮り切れなければ、日程を組み直して設備を再び止め、開口部を開け直すことになりました。見積を比べるときは、単価より先に、開口部の大きさや内部の障害物が近い設備を飛ばしきった実績があるかを確かめてください。
清美環は、非GPS環境に特化した小型のIBIS2と、球体のガードで囲ったELIOS 3を、開口部の大きさや内部の障害物で使い分けています。実績としては、中部地方で中規模の下水道管を約100メートル、関西で薬品タンクの内部、北陸で焼却炉の煙突を約30メートル調査してきました。
点検後の清掃を別に手配する費用
点検で見つかる汚泥の堆積や油分の固着、異物による詰まりは、補修ではなく清掃の対象です。点検会社と清掃会社が別だと、映像の説明、見積、日程調整がもう一度必要になり、そのあいだ設備を止めたままの現場もあります。清美環は下水道管・排水管の清掃やタンク清掃を本業として続けてきたため、点検で見つけた堆積や詰まりは、そのまま清掃まで一括で引き受けてきました。
見積の前に確かめる4つのこと
密閉空間の点検でどの費目がどこまで減るかは、次の4つを先に確かめておくと、見積の段階で判断できます。
- 開口部の寸法と内部の広さ 機体が入れるか、どちらの機体を使うかが決まります
- 点検で確かめたい項目 映像で足りるのか、打音や触診が要るのかで、足場が残るかが決まります
- 停止期間を決めている工程 点検以外の工事がいちばん長いなら、停止による損失は減りません
- いまの点検で組んでいる足場と安全措置の体制 減る金額は、いま払っている費用の大きさで決まります
4つのうち開口部の寸法と停止期間を決めている工程は、設備の図面と定期修理の工程表で確かめられるでしょう。
密閉空間の点検コストの相談は『フクロウ』へ
密閉空間の点検をドローンに切り替えて減るのは、足場、設備の停止、立ち入り前の安全措置の3つの費目です。足場は映像で確かめられる点検で、設備の停止は足場の日数が停止期間を決めている場合に、安全措置は人が立ち入らずに点検を終えられる場合に減ります。点検計画と報告書の費用や、清掃や補修で人が入るときの安全措置は残るため、点検の方式だけで総額が決まるわけではありません。
清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、下水道管、焼却炉、大型タンク、ボイラー、ピット、ダクトといった密閉空間の点検を、三十年の管清掃の知見とあわせて担ってきました。ドローンを保有していて管内を飛ばせないという点検・調査会社からの操縦委託のご相談にも応じてきました。
対象設備と開口部の寸法、いまの足場と停止日数をお聞かせいただければ、近い事例をもとに、どの費目がどこまで減るかをお見積りでお示しします。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。
