密閉空間の点検を危険にする条件は、中の空気と、出入りの形の2種類に分かれます。空気の側には酸素の不足と有害なガス、可燃性のガスがあり、出入りの側には縦穴での墜落と、狭い出入り口のために倒れた人を外へ出しにくい閉じ込めがあります。人が入らずに中を見るには、換気とガス検知で機体を入れてよい空気かを確かめたうえで、開口部の大きさや奥までの距離、水位や堆積に合う機体を選ばなければなりません。
下水道管とタンクの清掃を30年以上続けてきた清美環は、管内点検ドローン『フクロウ』で設備の内部も調べています。ただ、機体のカメラで酸素や硫化水素の濃度は測れません。人が中に入る作業には、法令の措置がそのまま残ります。
密閉空間の点検を危険にする5つの条件
密閉空間の点検を危険にする条件は、次の5つです。
- 酸素欠乏:中の空気の酸素が減り、吸った人が倒れる状態
- 有害ガス:汚水や汚泥から出た硫化水素などを吸うおそれ
- 可燃性ガス:油や溶剤の蒸気などがたまり、火花で燃えるおそれ
- 墜落:縦穴のはしごや内部の足場から落ちるおそれ
- 閉じ込め:出入り口が狭く少ないため、倒れた人を外へ出しにくい状態
酸素欠乏と有害ガスと可燃性ガスの3つは、蓋の外から見ても分かりません。墜落と閉じ込めの条件は、縦穴の深さや出入り口の数として、図面と開口部の写真から読み取れるでしょう。
点検のために入った船の中の空間で、酸素欠乏症にかかった例が、厚生労働省の職場のあんぜんサイトの労働災害事例に載っています。約1年間休止していた揚土船の点検整備で、機関室からの油漏れを確かめるため、船底の空所(ボイドスペース)に入った人が亡くなりました。
原因として挙がったのは、長く密閉されていた空所の内壁が酸化し、空気中の酸素が使われて酸素欠乏になっていたことです。入る前に酸素濃度の測定や換気は行われておらず、1人で入ったため救出が遅れました。被災者は、昇降用のはしごの途中で宙づりの状態で見つかっています。
揚土船の事故で人が入った目的は、油漏れの有無という中の様子を確かめることでした。中の様子を見るための立ち入りなら、人の代わりに機体を入れる方法を検討できます。
酸素欠乏と硫化水素の基準と法令がかかる場所
酸素欠乏と硫化水素の基準は、酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)が数字で決めています。この記事で挙げる酸欠則の措置(第3条から第15条まで)は、労働安全衛生法施行令の別表第6に挙がる酸素欠乏危険場所での作業にかかり、別表第6に当たらない場所での作業にはかかりません。
酸素18パーセント未満と硫化水素10ppm超
酸欠則の第2条は、空気中の酸素の濃度が18パーセント未満の状態を「酸素欠乏」と定めています。酸素欠乏の状態と、硫化水素の濃度が100万分の10(10ppm)を超える状態を合わせて、同じ条は「酸素欠乏等」と呼んでいます。
別表第6の場所での作業のうち、し尿や汚水などを入れてある、または入れたことのある場所(第9号)などでの作業は第2種酸素欠乏危険作業とされ、作業前に酸素と硫化水素の両方の濃度を測らなければなりません。それ以外の第1種の作業では、作業前に測る対象は酸素の濃度だけで、硫化水素は含まれません。
機体を入れる前に確かめる別表第6の4つの条件
下水道管やタンク、ボイラー、ピットにかかわる別表第6の場所には、たとえば次の4つの条件があります。機体を入れる前に確かめておきたいことを、条件ごとに挙げます。
- 相当期間閉めたままの鋼製の設備:鋼製のボイラーやタンクを相当期間密閉していれば第4号に当たりますが、内壁がステンレス鋼のものや、内壁の酸化を防ぐ手立てを講じてあるものは第4号に入りません。閉めていた期間と、内壁の材質を確かめましょう。
- 窒素やアルゴンなどを入れてきた設備:ボイラーやタンクは、不活性の気体を今入れている場合だけでなく、過去に入れていた場合も第11号に当たります。今の中身に加えて、これまでに入れた気体を確かめておきましょう。
- 腐敗しやすい物を入れてきた設備:し尿や汚水、腐泥などを今入れている設備も、過去に入れていただけの設備も第9号に当たり、人が入る作業では硫化水素も測ります。設備の記録をさかのぼり、過去に入れた物まで確かめてください。
- 雨水や湧き水がたまる設備:槽やマンホール、ピットは、雨水や湧き水が今たまっていなくても、過去にたまったことがあれば第3号の2に当たります。過去にたまったことがあるかと今の水の深さを確かめておけば、機体が先へ進めるかを見込むこともできるでしょう。
4つの条件は別表第6の一部で、ほかにも石炭を入れる貯蔵施設や穀物のサイロなどが挙がっています。条文はe-Govの労働安全衛生法施行令で確かめてください。
空気の危険がある設備で機体を入れる前に要ること
空気の危険がある設備で機体を入れる前に要るのは、換気とガス検知で、中の空気が機体を入れてよい状態かを確かめることです。

酸素と硫化水素を確かめる人と時期
機体で点検する日も、蓋や点検口を開けて機体を入れるのは、開口部のそばに立つ人です。開口部から出てくる空気を吸う位置で作業するため、中に人が入らない点検でも、開けた後の換気とガス検知が済むまで機体を入れてはいけません。
換気とガス検知を誰がいつ行うかは、発注の段階で設備の管理者と決めておく必要があります。
機体を入れた日に測った値で、後日人が入る作業の測定を済ませたことにはなりません。酸欠則第3条は、別表第6の場所で人が作業する日ごとに、作業を始める前の測定を求めているためです。
可燃性ガスのおそれがある設備の確かめ方
油や溶剤の蒸気などがたまっているかもしれない設備は、可燃性や爆発性の物質があるおそれのある場所に当たり、メーカーは防爆仕様でないELIOS 3をそうした場所で飛ばすことを禁じています。換気した後のガス検知で可燃性ガスが検出されないと確かめるまで、こうした設備に機体を入れてはいけません。
油や溶剤、燃料を入れていたタンクの点検を相談するときは、中に何を入れてきたかと、中身の抜き取りや洗浄を済ませたかを伝えてください。
墜落と閉じ込めの条件で決まる機体の届く範囲
墜落と閉じ込めの条件がある設備では、人が縦穴を下りる代わりに機体を入れられます。ただし、機体が奥で止まって回収のために人が入ることになれば、避けたかった危険に人を近づけることになりかねません。機体が届く範囲は、次の4つの条件で先に見極めます。

機体が入れる開口部と管の大きさ
出入り口が狭く少ないという閉じ込めの条件は、機体が入れるかの条件でもあります。蓋や点検口の内径と、その先の管の内径を、機種ごとに公表されている、機体が入れる最小の寸法と比べなければなりません。マンホールでは、蓋を通れる機体でも、下りた先の管が細ければ先へ進めません。
進入口からの距離と曲がり
見たい場所が進入口から遠いときや、途中に曲がりが重なるときは、操縦の電波と映像が奥まで届くかと、電池が帰りの分まで持つかを、機体を入れる前に見込んでおきます。図面に、進入口から見たい場所までの距離と曲がりの位置を書き込んでいただければ、1回の進入で届くかを判断しやすくなるでしょう。
水位と堆積と段差
水位と堆積と段差は、機体が進める空間の高さと幅を決めます。水面と天井の間が狭い区間や、堆積で断面がふさがった区間では、機体が先へ進めないことがあります。段差は飛んで越えられる場合がありますが、段差の先が狭くなっていれば進めません。
清美環では、点検で見つけた堆積を本業の清掃で取り除けます。
中の暗さと照明の届く距離
照明が届く距離には限りがあるため、内空の広いタンクや炉で壁全体を撮るには、壁との距離を保ちながら壁に沿って飛ぶことになり、広いほど飛ぶ時間が延びるでしょう。
現場の条件で選び分ける2つの機体
清美環は、開口部の大きさや中の広さ、壁や障害物への触れやすさに合わせて、IBIS2とELIOS 3の2つの機体を選び分けています。
狭い管と小さな開口部に向くIBIS2
IBIS2は、GPSを使えない屋内や管の中での飛行に特化した小型の機体です。出入り口が小さく、中が狭く入り組んだ設備には、IBIS2が向くでしょう。
壁に触れやすい槽に向くELIOS 3
ELIOS 3は、機体を球体のガードで囲い、壁や障害物に触れても飛び続けられるようにした機体で、障害物の多いタンクや槽の中に向きます。レーザーで周りとの距離を測るLiDARというセンサーと、SLAMという位置を推定する技術で、機体が自分の位置を保つのを補います。
位置の補助の仕組みは機種ごとに違いますが、GPSで位置を保つ屋外の飛ばし方は、管や槽の中では使えません。
お持ちの設備に機体を入れられるか、入れるならどちらの機体かは、設備の種類と開口部の寸法、中に何を入れてきたかが分かれば見通しを立てられます。管内やタンク内部の点検の無料相談・お見積りは、お問い合わせページから受け付けています。
人が入る作業に残る義務と清美環が受け持つ範囲
機体で中を見た後も、清掃や補修で人が別表第6の場所に入るなら、酸欠則の措置は省けません。機体による点検で減らせるのは、人が入る回数と範囲です。
清掃や補修で人が入るときに残る措置
人が入る作業では、技能講習を終えた人の中から作業主任者を選び(第11条)、作業する日ごとに濃度を測るほか、危険条件ごとに次の措置をとります。
- 閉じ込め:中へ入るときと外へ出るときに、そのつど人数を数える(第8条)。作業中は絶えず様子を見張り、異常があればすぐ知らせる人を置くなどの措置をとる(第13条)。避難させたり助け出したりするための、はしごや繊維ロープなどの用具もそろえておく(第15条)
- 酸素欠乏と硫化水素:換気を続けて、酸素が18パーセントを下回らないようにし、第2種の作業では硫化水素が10ppmを超えないようにする(第5条)。爆発や酸化を防ぐためなどで換気できないときは、空気呼吸器などを着けさせる(第5条の2)
- 墜落:酸素欠乏症などになって下へ落ちるおそれがあれば、命綱として墜落制止用器具などを着けさせる(第6条)
はしごの腐食や足場の状態、堆積の位置を機体の映像で先に見ておけば、墜落のおそれがある箇所を避けた入り方と、中にいる時間を短くする段取りを、蓋を開ける前に決められます。
清美環が引き受ける範囲と対象の設備
清美環は、機体の映像による点検調査と、点検で見つけた堆積や汚泥の清掃を引き受けます。点検と清掃を同じ会社に頼めるため、映像を別の清掃会社へ渡して説明し直す手間はかかりません。
機体を入れる対象は、次の3種類の設備の内部です。
- 管路:下水道管、マンホール
- 槽や炉:大型タンク、焼却炉、ボイラー本体、ピット
- 建物と工場:天井裏、ダクト、プラントの設備
排水管と配水管は、清美環では機体を入れる対象にしていません。受水槽と貯水槽も、機体が落ちたときの衛生上の影響を考えて対象から外しています。
危険条件のある密閉空間の点検相談は『フクロウ』へ
相談のときは、次の5つをお知らせください。図面や過去の点検記録で分かる範囲でかまいません。
- 設備の種類と、中に入れてきた物
- 開口部と管の内径
- 進入口から見たい場所までの距離と曲がり
- 水位と堆積の状態
- 換気とガス検知を行う人と日時
清美環は、相模原市で下水道管や排水管、タンクの清掃を30年以上続けてきた会社で、管内点検ドローン『フクロウ』では、機体を導入したものの管や槽の中で飛ばす人がいない点検・調査会社からの操縦委託にも対応しています。
密閉空間の点検の無料相談・お見積りはお問い合わせページで受け付けており、お電話(042-765-4100、平日9時から18時)でもご相談いただけます。
