プラントの設備点検をドローンの映像で行うと、タンク・焼却炉の煙突・大口径の配管やダクト・ピットの内面にある腐食、はがれ、ひび、堆積物の広がりは、人が中に入らずに確かめられます。一方で、残っている壁の厚さ、底板の裏側、堆積物や水に沈んだ部分、保温材に覆われた配管の外面は、映像には映りません。
足場を組まずに済むのは、劣化の有無と場所をつかむ段階の点検で、機体が通れる開口部があり、タンクや槽なら中身を抜いて換気が済んでいる設備です。発注前には、設備ごとに「映像で見る項目」と「別の方法で測る項目」を分けておくと、見積りと当日の段取りが決まります。下水道管やタンクの清掃を三十年以上続け、管内点検ドローン『フクロウ』で設備の内部を飛ばしている清美環が、設備の種類ごとの点検項目を書きました。
プラント設備の点検義務と、根拠になる法令
プラント設備の点検義務は、一つの法律がまとめて定めているのではありません。危険物を貯蔵・取り扱う施設のうち政令で定める製造所・貯蔵所・取扱所は消防法第14条の3の2の定期点検、ボイラーや第一種圧力容器はボイラー及び圧力容器安全規則の定期自主検査と性能検査、高圧ガスの第一種製造者が持つ特定施設は高圧ガス保安法第35条の保安検査が、それぞれ根拠になります。
同じ敷地の中でも、薬液の中間槽や排水のピットのように、三つの法令とは別の法令がかかる設備や、法定の点検がなく自主点検で管理している設備も少なくありません。法定の点検にドローンの映像を使えるかは、法令ごとに決まっている点検の方法に照らして判断されるものです。危険物施設なら所轄の消防本部、ボイラーや第一種圧力容器の性能検査なら登録性能検査機関、高圧ガス設備なら都道府県の担当窓口に、発注前に確かめてください。
大型タンクの点検項目と、映像で分かる範囲
球形や円筒形の大型タンクで映像で確かめられるのは、内面の腐食や塗装・内張りのはがれ、溶接線まわりの錆、底にたまった堆積物の確認です。残っている板の厚さと底板の裏側は、映像では分かりません。

映像で確かめられる項目
側板の内面では、錆の広がり、塗装や内張りのはがれとふくれ、溶接線に沿った錆や変色を撮影できます。人が見るには足場が要る上部の側板や屋根の裏の骨組みも、機体なら近づいて撮れる範囲です。底板の上では、堆積物がどの範囲に積もっているかを映像で押さえられるため、清掃の計画を立てる材料にもなるでしょう。
映像では分からない項目
板の残りの厚さは、超音波で厚さを測る機器を使う測定で確かめます。地盤に接している底板の裏面は、タンクの内側からは見えません。底に積もった堆積物の下の板の表面も、清掃で堆積物を取り除いてからでないと撮れない部分です。目で見えない細かい割れは、非破壊検査で確かめる項目です。
タンクに機体を入れる前には、内容物を抜いて洗浄・換気し、槽の中に爆発のおそれがないことを事業所が確かめておかなければなりません。清美環は関西で、薬品タンクの内部調査を担ってきました。
煙突・焼却炉の点検項目と、映像で分かる範囲
焼却炉の煙突と煙道の内部点検で映像で確かめられるのは、内壁のひびや欠け、内張りの脱落、すすなどの付着物がついている範囲です。高さのある煙突ほど、人が上部の内壁を見るための足場が大きくなるため、映像で全体を先に見る意味が大きくなります。清美環は北陸で、焼却炉の煙突を高さ約30メートルにわたって点検しました。
焼却炉やボイラー本体の内部では、炉の内壁の損傷や付着物、管の外面の錆を撮影できます。映像で分からないのは、内張りの奥にある鋼板の腐食と、管や壁が摩耗して薄くなった量で、こちらは厚さの測定で確かめる項目です。清美環が受け持つ煙突は焼却炉の煙突と煙道で、ボイラーの煙突は対象にしていません。煙突の外面や鉄骨も屋外の開放空間にあたり、受け持ってきたのは内部のほうでした。
煙突や炉に機体を入れるのは、設備を止めて排ガスが流れていない状態にし、内部が冷めた後です。
配管・ダクトの点検項目と、口径による違い
プラントの配管のうち、ドローンで内部を点検できるのは、人が通れるほどの口径がある管とダクトです。口径の細い工程配管や排水管・配水管は、管が機体より細いため対象にしていません。こうした細い管は、内視鏡を差し込む調査や、外側から超音波で厚さを測る調査で確かめる領域です。
口径の大きい管やダクトの中では、内面の腐食、付着物や堆積物のたまり具合、継ぎ目のずれやすき間を映像で追えます。ダクトは曲がりや分岐の先まで機体を進められるかで、撮れる範囲が決まってきました。
配管で見落とされがちなのが、外側を保温材で覆った管の腐食でしょう。保温材の下で進む外面の腐食は、管の中を飛ぶ機体の映像には映らず、保温材を外すか、外側からの別の検査で確かめます。
ピットの点検項目と、映像で分かる範囲
ピットの点検で映像で確かめられるのは、壁と床のコンクリートのひびや欠け、鉄筋が見えている箇所、汚泥がたまっている位置と範囲です。水や汚泥に沈んでいる部分は映らないため、水位を下げるか、汚泥を抜いてから撮るしかありません。
コンクリートの内部の空洞や浮き、強度も、表面を撮る映像では分からない項目です。空洞や浮きはハンマーでたたいて音を聞く打音の調査で、強度はコンクリートを抜き取って調べる試験で確かめます。どちらも、映像で異状が見えた箇所に絞って行えば済むでしょう。
汚水や汚泥を入れたことのあるピットの内部は、労働安全衛生法施行令で酸素欠乏危険場所に挙げられています。人が入る作業では酸素濃度の測定や換気が欠かせず、硫化水素中毒のおそれがある場所では硫化水素の濃度も測らなければなりません。機体を入れて外から映像を見る点検なら、人が中に入らずに状態をつかめます。ただし可燃性のガスが出るおそれのあるピットでは、機体を入れる前に換気とガスの検知を済ませなければなりません。
自社の設備でどの項目を映像で見られるかは、設備の種類と図面、開口部の寸法が分かれば早い段階で判断できます。近い条件の事例をもとにお答えしますので、無料相談とお見積りはお問い合わせページからご連絡ください。
足場を組まずに済む条件と、足場が残る作業
ドローンで足場を組まずに済むのは、設備の内面を見て、劣化の有無と場所をつかむ段階の点検です。どの設備も機体が通れる開口部があることが前提で、タンクや槽は中身を抜いて換気を済ませておきます。人が見る点検なら足場を組んでいた箇所は、設備ごとに次の三つでした。

- 大型タンクの上部の側板と、屋根の裏の骨組み
- 焼却炉の煙突の上部の内壁
- 焼却炉やボイラー本体の上部の内壁
足場が残るのは、人が壁に近づいて行う厚さの測定や非破壊検査、見つかった劣化の補修工事です。映像で全体を先に見れば、足場を組む範囲を、異状が見つかった箇所に限れるでしょう。
清美環は、全体を先に飛んで異状が疑われる箇所をふるい分けるスクリーニング調査と、要注意の箇所だけを詳しく撮る本格調査の二段階で進めてきました。
発注前に分けておく、映像で見る項目と別に測る項目
プラントの設備点検を業者に頼むときは、設備ごとに「映像で見る項目」と「厚さの測定などの別の方法で測る項目」を分けて伝えると、見積りの範囲と当日の段取りが決まります。映像点検を受ける会社と、厚さの測定や非破壊検査を受ける会社が別になる場合もあるため、分担を先に決めておくと、同じ設備を二度開ける手間を避けられます。
伝えておくと話が早いのは、設備の種類と図面(内径、高さ、開口部の寸法)、見つけたい劣化の種類、内容物の抜き取りと換気の予定、定期修理の日程の四つでした。報告書で、撮った箇所が設備のどの位置かが分かる形になっているかも、発注前に見本で確かめてください。位置の分からない映像では、足場を組む箇所や厚さを測る箇所を決められません。
プラントの設備点検は管内点検ドローン『フクロウ』へ
清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、プラントの大型タンク、焼却炉とその煙突・煙道、ボイラー本体、ピット、ダクトの内部点検を、非GPSの暗い空間を映像だけで飛ばす熟練オペレーターと、小型のIBIS2・球体ガード付きのELIOS 3の二機体で引き受けています。本業は下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃で、点検で見つけた底の堆積物やピットの汚泥は、そのまま清掃まで一括でお任せいただけます。
実績としては、関西での薬品タンクの内部調査、北陸での焼却炉の煙突約30メートルの点検、中部での中規模の下水道管約100メートルの調査を担ってきました。ドローンを持っていても設備の内部を飛ばせない点検・調査会社からは、操縦だけの委託も操縦委託のお問い合わせで承っています。
どの項目を映像で見られるか分からない段階でも構いません。設備の種類と開口部の寸法、内容物、定期修理の日程をお知らせいただければ、近い事例をもとに進め方をお答えします。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。
