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下水道管の老朽化の原因と対策|劣化の進み方と点検で見極める優先順位

下水道管の老朽化の原因と対策|劣化の進み方と点検で見極める優先順位

「下水道管 老朽化」で検索して並ぶのは、国の資料と各社のコラムが大半ではないでしょうか。管が古くなっている、陥没が起きている、対策が急がれている。そこまでは、どの記事にも書かれています。実際に管路を預かる立場で知りたいのは、その先のはずでしょう。

何が原因で管は傷むのか。傷んだ管はどういう順序で陥没に変わるのか。限られた予算と人員で、どの区間から手をつければよいのか。この記事では下水道管の老朽化を、原因・進行・対策の三層に分けて整理しました。下水道管や排水管の清掃を三十年以上続けてきた清美環が、管内点検ドローン『フクロウ』で管の中を見てきた立場からまとめています。

下水道管の老朽化は、耐用年数の数字だけでは測れない

下水道の管きょには、地方公営企業法施行規則の別表で標準耐用年数50年という数字が定められています。更新需要の試算でも、この50年が区切りとして使われてきました。ただ数字の意味を取り違えると、老朽化対策の設計が狂います。

50年は会計上の減価償却を計算するための年数であって、「50年で必ず壊れる」とも「49年なら安全」とも言っていません。実際、埼玉県八潮市で起きた道路陥没は、布設から50年に満たない管でも重大な事故が起こりうることを示しました。逆に条件のよい区間なら、50年を過ぎても健全な管は各地に残っています。

では、何が実際の劣化速度を決めるのか。管の材質、埋設深さ、上を走る道路の交通量、下水の性状、勾配と常時の水位。同じ年に同じ工法で埋めた管でも、条件が違えば劣化の進み方はまるで別になります。布設年でソートした更新順位が現場の危険度と一致しないのは、そのためでしょう。年数は目安の入口にすぎず、優先順位は管の中の状態で決めるほかありません。

管の中で何が起きているのか、老朽化の四つの原因

下水道管の劣化は、「古くなる」の一言でまとまる現象ではありません。原因ごとに進み方も現れる場所も違ってきます。実務でよく挙がる四つを順に見ていきましょう。

管内で起きる腐食・閉塞・浸入・発錆の四原因

硫化水素がコンクリートを内側から侵す

鉄筋コンクリート管で最も厄介なのが、硫化水素による腐食です。下水が滞留して酸素の乏しい状態になると、硫酸塩から硫化水素が発生し、気体となって管の上部空間にたまります。その硫化水素を、管頂部の結露水に住み着いた細菌が硫酸へ変えました。硫酸はコンクリートを溶かし、骨材が浮き出て鉄筋が露出するところまで進みます。

腐食が集中するのは、下水がたまりやすい場所や乱流が起きる地点でした。伏越しの前後、圧送管の吐出先、落差の大きい人孔まわり。管底ではなく管の天井側から傷むのが特徴で、水位より下だけを見ていると見落としかねません。

油脂の固着が流れを止め、劣化を加速させる

飲食店や食品工場からの排水に含まれる油分は、管内で冷えると壁面に固まって付着します。油脂に紙や繊維が絡み、層を成して流れの断面を狭めていきました。閉塞そのものより深刻なのは、二次的な影響でしょう。流下能力が落ちれば汚水は滞留し、滞留すれば硫化水素が発生しやすくなります。油による閉塞は、コンクリート腐食を呼び込む前段階として働くわけです。

継手のすき間から、地下水と土砂が入り込む

管そのものが健全でも、管と管をつなぐ継手や、取付管が本管へ接続する支管の部分は、地盤の動きで少しずつずれていきました。すき間ができれば、地下水位の高い区間では地下水が流れ込み、不明水として処理場の負担を増やします。逆に管内の水圧が高い区間では、汚水が外へ漏れ出しました。

問題は、水だけが動くわけではない点です。すき間から水が入るとき、周囲の土砂も一緒に引き込まれます。砂を含んだ細い噴流が内壁を削り、孔を広げていく現象も知られてきました。老朽化は「管が弱る」だけでなく、「管の周りの地盤が抜けていく」現象でもあるわけです。

金属管の錆と、外からかかる力

圧送管やポンプ場まわりの鋳鉄管や鋼管では、腐食の主役が錆に替わりました。内面の錆こぶは流れを乱し、外面の腐食は管厚を減らして耐圧性能を落とします。加えて埋設管には交通荷重や地震時の地盤変位といった外力が常にかかり、軽微なひび割れを抱えた管ではひびが確実に成長しました。

老朽化が道路陥没に変わるまでの道すじ

ここまでの劣化は、それ自体が即座に事故になるわけではありません。ただ、陥没に至るには決まった順序があります。まず、腐食やひび割れ、継手のずれによって管に開口ができました。その開口へ地下水が流れ込むとき、周囲の土砂も管内へ吸い込まれます。下水が土砂を運び去るため、抜けた土は戻りません。土が抜けた分だけ空隙が生まれ、周辺の土砂がさらに吸い込まれて、空隙は上へ横へと育っていきました。

開口から浸入・空洞化を経て陥没に至る過程

最後の段階。空洞が路面直下まで達し、舗装が荷重を支えきれなくなった瞬間、路面が抜けます。厄介なのは、この過程のほとんどが地表からは見えないことです。舗装の表面は何事もないまま、地下では空洞が拡大している。陥没が「突然」起きたように見える理由が、ここにありました。

損傷が生じやすい箇所にも傾向があります。本管の直線部よりも、継手、取付管が接続する支管まわり、公共ますの立管といった「つなぎ目」に集中しました。補修製品が継手用・支管用・ます立管用と分かれているのも、損傷がそこへ偏るからでしょう。下水道管路に起因する道路陥没は、全国で年間2,600件を超える水準で起きてきました。

老朽化対策は「点検・診断・改築」の循環で組み立てる

では、どう手を打つのか。国土交通省が示す考え方が、下水道事業のストックマネジメントです。壊れてから直す事後対応から、施設全体の状態を把握して計画的に手を入れる予防管理へ切り替える枠組みになります。

実務の流れは、点検・調査で状態を把握し、診断で緊急度を判定し、修繕や改築の計画を立て、実施内容を台帳に記録して次の点検周期へつなぐ循環でした。同省がまとめた実施資料には管きょの健全率を予測する式やリスク評価の例が付録として整理され、予算の配分先を判断する道具立てがそろっています。

修繕と改築は、どう違うのか

用語の整理をしておきましょう。修繕は、ひび割れの補修や部分的な取り替えのように、機能を維持するための部分対応を指します。対して改築は施設の全部または一部を作り直す対応であり、耐用年数の到来にあわせて作り替える更新と、延命を図る長寿命化対策とに整理されてきました。国土交通省の令和4年4月1日付「下水道施設の改築について」(国水下事第67号)が、その区分と交付の取り扱いを定めています。

区分は言葉の問題にとどまりません。同じ「直す」でも予算規模も、次に手を入れるまでの期間も変わります。診断が甘いまま計画を組めば、まだ使える管を更新したり、限界に近い管へ部分補修だけを当てて数年後に作り直したりという無駄が生まれました。

掘らずに直す更生工法という選択

改築の手段も、道路を掘り返して新しい管に入れ替える布設替えだけではありません。既設管を残したまま内側に新しい管を形成する更生工法が、管路の改築では広く使われてきました。国土交通省も交付対象の運用について通知を出しており、制度上の位置づけは確立しています。

掘削の範囲が小さくなれば、交通規制の期間も周辺住民への影響も減ります。都市部の幹線で選ばれやすいのはその点でしょう。ただし適用できる管径や損傷の程度に条件があるため、事前の管内調査が前提になりました。

対策が計画どおりに進まない、三つの制約

枠組みは整っているのに、なぜ対策が追いつかないのか。現場に共通する制約が三つあります。

  • 財政 人口減少で使用料収入が伸びない一方、更新すべき管路の量は増え続け、経費回収率の低下が続く自治体は少なくありません
  • 人手 下水道を担当する技術職員は減少傾向にあり、点検から診断、発注までを回せる人材の確保と引き継ぎが課題です
  • 施工者の確保 補修工事を発注しても入札が成立しない入札不調が各地で起き、予算がついても工事が進まない事態が生じています

国の側も手をこまねいてはいません。政府は国土強靱化の中期計画で、老朽化した大規模な下水道管について、全長5,000キロメートルの更新を2030年度までに完了させる目標を掲げました。ただ目標が示されたということは、その量の点検と診断と工事を、三つの制約を抱えたまま各現場でこなす必要があるという意味でもあります。

ここで効いてくるのが、優先順位の付け方でしょう。全区間を一律の精度で調べて一律に直す体力は、どの自治体にもありません。危ない区間を早く見つけて資源をそこへ寄せられるかどうかで、同じ予算から得られる安全の量が変わってきます。調査すべき延長が読みきれない、期限までにさばけるか不安だという段階でも、事例をもとにご相談いただけます。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お電話は042-765-4100(平日9時から18時)でも承りました。

老朽化対策の起点は、危ない区間を絞り込む調査

絞り込みという発想は、清美環が独自に言い出したものではありません。国土交通省がまとめたストックマネジメントの実施資料にも、管きょ調査に関するスクリーニング技術が付録として収められています。広く浅く当たりをつけてから精密な調査を集中させる進め方は、制度の側でも前提に置かれているわけです。

清美環が管内点検ドローン『フクロウ』でおこなうのも、この二段構えでした。まず対象区間を一気に飛んで映像を押さえ、腐食や堆積、継手のずれが疑われる箇所を洗い出します。そのうえで、要注意と判断した区間へ本格調査を集中させる進め方。当社の実績では、スクリーニング調査で通常の1.5倍から1.6倍の距離を同じ時間で調べられました。映像と報告書はデータで納品しており、緊急度判定や改築計画の資料に使えます。

管の中は衛星の電波が届かず、暗く、壁が近い環境でした。映像だけを見て操縦する技能が要るため、非GPS環境に慣れたオペレーターが担当し、管の太さに応じてIBIS2とELIOS 3を使い分けています。

もうひとつ、老朽化診断で効いてくるのが本業の知見です。管の中に映った堆積物が、清掃すれば流れる油脂や汚泥なのか、管の破損で外から入り込んだ土砂なのか。前者なら清掃で回復しますが、後者は管の開口と地盤の抜けを疑うべき所見になりました。切り分けができるかどうかで、その区間を「様子見」に置くか「要対策」に上げるかが変わります。見つけた詰まりや堆積は、そのまま清掃まで一括でお引き受けできる体制です。

実績としては、中部地方で中規模の下水道管を約100メートル調査したほか、関西で薬品タンクの内部調査、北陸で焼却炉の煙突を高さ約30メートル点検してきました。ドローンを保有していて管内を飛ばせないという点検・調査会社の操縦委託にも対応しています。

下水道管の老朽化対策について『フクロウ』にご相談ください

下水道管の老朽化は、硫化水素による腐食、油脂の固着、継手からの土砂流入、錆と外力が重なって進みます。そして管の開口から土砂が抜け、地下に空洞が育ち、ある日路面が抜けました。止めるには、点検で状態をつかみ、診断で緊急度を判定し、修繕か改築かを選び分ける循環を回すほかありません。

とはいえ、財政と人手と施工者確保の制約は現実にあります。だからこそ、どの区間へ資源を寄せるかを早く決める調査が、対策全体の入口になりました。清美環はスクリーニングによる絞り込みと、非GPSの管内を飛ばすドローン調査、三十年の管清掃で培った腐食環境の見立てを組み合わせ、点検から清掃までを担ってきました。

対象になりそうな管路の相談から、調査計画の立て方、オペレーター委託まで承ります。管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。現場の規模や条件で進め方は変わりますので、まずは今の状況をお聞かせください。

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