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下水道のドローン点検とは|管内を飛ばす仕組みと調査依頼の進め方

下水道のドローン点検とは|管内を飛ばす仕組みと調査依頼の進め方

「下水道 ドローン」という言葉で調べはじめた方の多くは、自治体の下水道担当か、管路管理や管清掃を手がける会社の担当者ではないでしょうか。管の中をドローンが飛ぶという話は聞いたことがあるものの、実際にどんな機体が、どこまで入り、何を撮ってくるのか。従来のTVカメラ調査とはどう違い、どちらを選べばよいのか。判断材料が散らばっていて、輪郭がつかみにくいはずです。

この記事では、管路点検ドローンの基礎から、機体の使い分け、現場での調査フロー、そして委託するときの進め方までを一続きで整理しました。下水道管や排水管の清掃を三十年以上続けてきた清美環が、管内点検ドローン『フクロウ』で実際に管の中を飛ばしている立場から書いています。

下水道の点検にドローンが入ってきた理由

下水道管の点検は長く、作業員が管に入って目視で確かめるか、自走式のテレビカメラを流し込むかの二択でした。そこにドローンという選択肢が加わった背景には、点検すべき管路の量が急に膨らんだという事情があります。

埼玉県八潮市で起きた道路陥没を受けて、国土交通省は令和7年3月18日、全国の自治体へ下水道管路の全国特別重点調査の実施を要請しました。この調査の対象は約5,000キロメートルにおよびます。規模の大きい道路陥没事故は年に50件ほど起きているとされ、老朽化した管路をどう先回りして見つけるかが、各自治体の実務課題として一気に前面へ出てきました。

ここで壁になるのが、点検する側の手数です。全国で一斉に調査が始まれば、機材も人員も同じ時期に取り合いになります。国土交通省がドローンを下水道点検の高度化・実用化技術として位置づけたのも、既存の手法だけでは量をさばききれないという現実が背景にあるからでしょう。下水道でドローンが求められているのは、目新しさではなく、限られた時間で長い延長をふるい分けるための手数としてという理解が、実務では近いはずです。

関連記事:下水道管の点検をドローンで|メリットと進め方

管路点検ドローンの仕組みと、屋外空撮との決定的な違い

配管内点検に使うドローンは、屋外を飛ぶ空撮機とは前提がまったく異なります。最大の違いは、機体が自分の位置を知る手段を持たないという点でしょう。

屋外機は衛星からの信号で座標を割り出し、風で流されても自動で位置を保ちます。ところが管の中やマンホールの内部には衛星の電波が届きません。機体は「いま自分がどこにいるか」を計算できず、姿勢と推力の制御だけが頼りになります。加えて管内は真っ暗で、壁が数十センチの距離に迫り、水面のゆらぎや粉塵がカメラの映像を乱しました。

そのためオペレーターは、機体から送られてくる映像だけを見ながら操縦します。この方式をFPVと呼び、日本語にすれば一人称視点での操縦にあたります。壁との距離を映像の見え方だけで測り、狭所で乱れる気流のなかで姿勢を保ち、入ってきた経路をたどって確実に戻す。屋外で安定して飛ばせる操縦者が、そのまま管内を飛ばせるとは限りません。

照明と記録が調査の質を決める

管内点検ドローンには強力な照明が積まれており、光を当てた範囲だけが映像に残ります。裏返せば、照らし方と飛ばし方で見落としが生まれるということ。ひび割れや継ぎ手のずれは、正面から当てるより斜めから当てたほうが影で浮かび上がります。機体の速度、壁からの離隔、光の角度をどう組み立てるかは、機体の性能ではなく操縦する人の判断に委ねられている部分でした。

二種類の機体を現場条件で選び分ける

清美環では、管内・閉鎖空間の調査に二機種を使い分けてきました。どちらが優れているという話ではなく、口径や障害物の量で向き不向きが分かれます。

  • IBIS2 非GPS環境に特化した小型機。狭く入り組んだ管路や、開口部の小さい設備へ入れる場面で選びます
  • ELIOS 3 球体のガードで機体を囲った構造。障害物が多く接触の可能性が高い槽内や、粉塵の舞う空間で力を発揮します

同じ「管の中」でも、堆積物の量、分岐の有無、マンホールからの進入角度によって最適な機体は変わりました。現場を見ずに機体を決めてしまうと、途中で進めなくなって調査そのものが中断します。事前に図面と現地条件を確認し、そのうえで機体を選ぶ手順が、結果として撮り直しを減らしました。

TVカメラ調査との違いと、現場での使い分け

下水道の管内調査で長く標準だったのが、自走式や牽引式のカメラを管底に走らせるTVカメラ調査です。管を線として連続的に記録でき、判定基準も蓄積されているため、詳細な状態把握では今も第一の選択肢になります。

一方で、機材が管底を走るという構造から生じる制約もありました。接続部に落差があると車体はそこで止まり、急勾配では自重で滑ります。水位が高い区間ではカメラが水没して映像が濁り、雨天後で水位が変動する現場は調査できる時間帯そのものが限られました。長距離ではケーブル長も効いてきます。

飛んで進む機体には、こうした制約の多くが当てはまりません。段差は越えていけますし、急勾配でも姿勢を保てます。水が残っていても水面より上の空間を進み、内壁を撮影できました。つまり両者は置き換えの関係ではなく、TVカメラが止まってしまう区間をドローンが引き受けるという補完の関係にあります。

実務での組み立てとしては、まずドローンで広く飛ばして全体像を押さえ、異状が疑われた区間へTVカメラや本格調査を集中させる進め方が現実的でしょう。全区間を一律に精密調査へかける計画は、費用も工期も膨らみやすくなります。

関連記事:下水道管の点検方法を比較|TVカメラとドローンの使い分けと点検義務

関連記事:排水管ファイバースコープの費用|内訳とマンションの負担区分

スクリーニングから本格調査へ、実際の点検フロー

管路点検ドローンの調査は、スクリーニング調査と本格調査の二段構えを軸に、四つの工程で組み立てるのが基本形になります。順を追って見ていきましょう。

点検フロー4工程の図解
  1. 事前確認 図面、口径、延長、過去の調査履歴、水位や堆積の状況を確認し、進入口と機体を決めます
  2. スクリーニング調査 対象区間を一気に飛んで映像で押さえ、異状が疑われる箇所をふるい分けます
  3. 本格調査 要注意と判断した区間だけを、速度を落として詳しく撮影します
  4. 報告書の作成 映像と所見をデータで納品し、区間ごとの優先度が判断できる形にまとめます

この進め方の効きどころは、二段構えの一段目にあたるスクリーニング調査にあります。全区間を同じ精度で見ようとすると時間も費用も際限なく積み上がりますが、先にふるい分けを済ませれば、限られた時間を危険な区間へ振り向けられました。当社の実績では、スクリーニング調査によって通常の1.5倍から1.6倍の距離を同じ時間で調査できています(当社実績による目安)。調査すべき延長が積み上がっている現場ほど、この差は効いてきます。

納品物の形も、発注前に確かめておきたい部分でした。映像データだけを渡されても、更新計画の会議には持ち込めません。どの区間から手をつけるべきかを判断できる資料になっているかどうかで、調査後の動きやすさが変わります。

対象の管路がドローンで見られるのか、それとも既存手法のほうが合うのか。図面と現地条件が分かれば早い段階で判断できますので、対象設備と口径、延長をお聞かせください。近い条件の事例をもとにお答えします。管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りはお問い合わせページから承っております。

関連記事:下水道の全国特別重点調査の対象|緊急度判定と自治体の調べ方

ドローンで見られる対象と、対象にしない設備

期待値をそろえるために、線引きをはっきりさせておきましょう。ドローンはあらゆる配管に入れるわけではありません。

点検対象と対象外設備の比較図

入っていけるのは、人が通れるほどの口径がある管と、人が入りたくない閉鎖空間のほうになります。具体的には下水道管とマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー本体、ピット内、天井裏、ダクト内、そして工場やプラントの設備内部。配管内部点検のご相談をいただく案件も、多くはこの領域でした。

一方、宅内の排水管や配水管のように口径の小さい管には機体が物理的に入りません。そこは内視鏡やTVカメラの領分のままです。受水槽や貯水槽についても、墜落したときの衛生上の影響を考えて対象から外しました。できないことを先に伝えておくほうが、結果として調査計画は立てやすくなるはずです。

人が入る前提の設備では、点検そのものより「安全に入るための段取り」に費用と日数がかかっていました。足場の設置、開口部の確保、換気、酸素濃度と硫化水素の測定、監視員の配置。人を入れないと決めた時点で、これらの負担はまとめて外れます。足場を組まずに済んだ現場では、規模によって数百万円単位の削減につながった例もありました。

関連記事:マンホール内部の調査方法と点検項目|人が入る調査とドローンの違い

点検して終わりにしない、清掃までの一括対応

下水道管のドローン調査を外注するとき、見落とされがちなのが調査の後の段取りです。老朽化した管の中で見つかるものは、ひび割れや腐食だけではありません。汚泥の堆積、油分の固着、異物による閉塞。これらは補修ではなく清掃の対象になります。

調査会社と清掃会社が別々だと、ここで話が一度止まりました。映像を渡し、別の会社へ説明し直し、あらためて現場を見てもらう。段取りも費用も二重になりがちです。清美環は本業として下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃を三十年以上手がけてきました。点検で堆積や詰まりを見つけたら、そのまま清掃まで一括で引き受けられます。

本業の経験は、映像の読み解きにも効いています。管の中に映った堆積物が、清掃すれば流れる汚れなのか、管の破損によって周囲の土砂が入り込んでいるのか。硫化水素が滞留しやすいのはどんな形状の区間か。長年管の中を見てきた感覚が、判断の速さにつながりました。

実績としては、中部地方で中規模の下水道管を約100メートルにわたって調査したほか、関西では薬品タンクの内部調査、北陸では焼却炉の煙突を高さ約30メートルにわたって点検しています。

下水道点検の委託先を選ぶときに確かめたい四点

下水道管のドローン調査を委託するとき、確認しておくと後で困らない観点はおおむね共通していました。

  • 管内・槽内の実績があるか 屋外の空撮や外観点検の実績が豊富でも、非GPSの管内飛行は別の技能になります
  • 段階運用ができるか 全区間を一律に精密調査するしかない体制だと、費用を絞り込みにくくなります
  • 報告書の仕様 映像なのか所見つきなのか、優先度の判断に使える形か、見本を事前に確認しておきましょう
  • 調査後にどこまで頼めるか 見つかった堆積の清掃や補修の手配まで含められるかで、総額と手間が変わります

操縦者の育成が業界全体の課題として挙げられているとおり、機体を持っていることと管内を飛ばせることは別問題です。すでにドローンを保有していて管内でうまく飛ばせないという点検・調査会社に向けては、操縦だけを引き受ける対応もしてきました。機体はあるが人がいないという場面では、操縦委託のご相談から承ります。

関連記事:老朽化配管の調査方法を比較|内視鏡とドローンの使い分けと選び方

下水道のドローン点検について『フクロウ』に相談する

下水道のドローン点検は、非GPSの暗所を映像だけで飛ばす操縦技術と、現場条件に合わせた機体の選定、そしてスクリーニングから本格調査へ絞り込む段取りが組み合わさって成り立っています。TVカメラ調査を置き換えるものではなく、段差や急勾配、水位で従来の機材が止まっていた区間を引き受け、限られた時間で長い延長をふるい分けるための手段として使われてきました。

清美環では、二種類の機体と熟練オペレーター、そして三十年の管清掃の知見をあわせて、下水道管やマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー、ピット、ダクトといった閉鎖空間の調査をお引き受けしています。点検で見つかった堆積や詰まりは、そのまま清掃まで一括で対応できます。

まだ調査計画が固まっていない段階でも構いません。対象設備と口径、延長、これまでの調査履歴をお聞かせいただければ、近い事例をもとに進め方を具体的にご提案します。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。

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