管内点検ドローン『フクロウ』/BLOG
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下水道の全国特別重点調査の対象|緊急度判定と自治体の調べ方

下水道の全国特別重点調査の対象|緊急度判定と自治体の調べ方

「うちの自治体も対象なのか。対象だとして、どれだけの延長を、いつまでに調べるのか」。全国特別重点調査という言葉を聞いて、まずそこを知りたい方が多いはずです。

この調査は、埼玉県八潮市で令和7年1月28日に起きた道路陥没を受けて始まりました。国土交通省が全国の自治体に要請したもので、対象になる管路の条件も、調べる方法も、判定の基準も具体的に決まっています。まずはそこを正確に押さえるところからです。

この記事では、対象の条件から緊急度の判定、自分の自治体の状況の調べ方までを整理し、そのうえで調査の先に控える点検量をどうさばくかまで、管の中を数多く見てきた立場からお伝えします。

この記事でわかること

・全国特別重点調査がいつ、何をきっかけに始まったのか ・対象になる管路の条件と、先に調べる優先実施箇所の4条件 ・管内調査と空洞調査で何を確認するのか ・緊急度I・II・IIIがそれぞれ何を意味するのか ・全国でどれだけの対策が必要と判定されたのか(令和8年2月末時点)

全国特別重点調査は八潮市の陥没を受けて始まった

令和7年1月28日、埼玉県八潮市で道路が陥没し、トラック1台が巻き込まれました。下水道管の破損が原因と考えられ、周辺の約120万人に下水道の使用自粛が要請される事態になりました。

国土交通省は令和7年2月14日に緊急点検の結果を公表し、有識者委員会が令和7年3月17日に第1次提言を出します。これを踏まえて令和7年3月18日、国土交通省が全国の自治体へ調査の実施を要請しました。これが下水道管路の全国特別重点調査です。

個々の自治体が独自に始めた点検ではなく、国が対象と方法を示して全国で足並みをそろえる枠組みです。

対象は管径2メートル以上で平成6年度以前に設置された管路

対象はやみくもに全ての管を調べるものではありません。条件が明示されています。

対象全体優先実施箇所
条件管径2メートル以上、かつ平成6年度以前に設置された下水道管路対象のうち、下の4条件のいずれかに当てはまる箇所
全国の延長約1万キロメートル1,000キロメートル程度
実施の目途1年以内夏頃までに先行して調査

優先実施箇所として先に調べることとされたのは、次の4つです。

  • 八潮市の現場と似た条件の箇所(立坑との接続部付近の曲線部などで、地下水位が高く砂質系または緩いシルト質系の地盤)
  • 構造的に腐食しやすい箇所、または過去の調査で腐食が確認され、まだ対策していない箇所
  • 緊急輸送道路で、下水道が原因の陥没が起きた履歴のある箇所
  • 沈砂池にたまる土砂が目立って増えた処理場・ポンプ場につながる管路

国土交通省の報道発表では「平成6年度以前に設置された」と書かれています。要約記事のなかには「設置・改築」と書いているものもありますが、一次資料で確認できるのは「設置された」です。自分の自治体の管路を洗い出すときは、設置年度で拾ってください。

調べるのは管の内側と路面の下の2つ

調査の中身は大きく2つに分かれます。管の内側を見るものと、路面の下を探るものです。

管の中を見る管内調査と路面下の空洞調査の断面図
管路内調査空洞調査
調べる場所管の内側路面の下(地中)
方法人が入る潜行目視、またはドローンやテレビカメラによる調査路面下の空洞調査、簡易な貫入試験、管路内からの空洞調査
見つけるもの腐食、たるみ、破損、クラック、継手のずれ、浸入水土砂が流出してできた空洞
実施する範囲対象の管路緊急度I・IIと判定された箇所

管が壊れて周囲の土砂が管の中へ吸い込まれると、道路の下に空洞が育ちます。表面はまだ舗装で覆われていても、内部は空という状態です。だから管の中を見るだけでは足りず、判定の結果に応じて路面下も探ることになっています。

下水道の全国特別重点調査とは|対象管路と自治体に迫る点検量の実務|清美環ドローン

緊急度はIからIIIの3段階で判定される

調査で見つかった異常は、まず1本ごと、スパンごとにランク付けされ、そこから健全度を経て緊急度に落とし込まれます。緊急度の区分と、その後の対応は次のとおりです。

緊急度I緊急度II緊急度III
意味速やかに対策が必要簡易な対応により、必要な措置を5年未満まで延長できる簡易な対応により、必要な措置を5年以上に延長できる
対応の目安原則1年以内に対策応急措置のうえ5年以内に対策経過観察

全国特別重点調査では、通常の点検より判定基準が厳しく設定されています。通常は緊急度Iが「ランクAの項目が2つ以上」であるところ、この調査では「1つ以上」で緊急度Iとされます。緊急度IIも同様に厳しくなっています。通常の点検より広く「要対策」を拾う設計です。

自分の自治体が対象かは公表ページで確認できる

多くの自治体が、対象・スケジュール・結果を公式サイトで公開しています。

1
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自治体名と調査名で検索する

「(自治体名)下水道 特別重点調査」で検索し、公式ページの結果表を直接見てください。まとめ記事ではなく一次情報にあたるのが確実です。

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3つの数字を見る

調査対象の延長がどれだけあるか、緊急度の判定でどの区分がどれくらい出たか、今後の対応方針がどう書かれているか。この3点でその自治体の段階が分かります。

3
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緊急度I・IIの延長を確かめる

緊急度Iは原則1年以内、緊急度IIは5年以内に対策が要ります。ここの延長がそのまま、次に控える工事の規模になります。

全国で対策が必要と判定されたのは748キロメートル

国土交通省が令和8年4月21日に公表した結果(令和8年2月末時点)によると、対象は535団体・5,332キロメートルでした。

  • 目視調査を実施した延長は5,121キロメートル
  • 対策が必要と判定された延長は748キロメートル(緊急度1が201キロメートル、緊急度2が547キロメートル)
  • 空洞調査を実施した延長は1,326キロメートルで、空洞が96箇所確認された(いずれも対策済み)

対策が必要と判定された748キロメートルには、原則1年以内、または5年以内という期限が付いています。調査は記録して終わりではなく、その先に補修と更新が控えているということです。

お客さまお客さま

対象区間の延長を見て、正直これを期限内に終えられる気がしていません。

コバクロウコバクロウ

全部を同じ精度で見ようとすると、まず終わりません。先に広く浅く当たりをつけて、危ないところだけ詳しく見る。順番を変えるだけで、さばける量は変わりますよ。

限られた期間で量をさばくには先にふるい分ける

全区間を最初から同じ精度で本格調査すれば、時間も費用も際限なく膨らみます。清美環が管内点検ドローン『フクロウ』の現場で採っているのは、2段階に分ける進め方です。

広く浅く調べてから対象を絞り本格調査する流れ
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広く浅く飛ばして、異状の疑いを絞り込む

まず全体を映像で押さえ、問題のありそうな区間を洗い出します。当社の実績では、この段階で通常の1.5〜1.6倍の距離を同じ時間で調べられています(現場条件による目安です)。

2
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絞り込んだ区間だけを本格調査する

本当に詳しく見るべき場所へ人と時間を集中させます。ふるい分けを先に済ませておくことで、限られた期間を危険な区間に振り向けられます。

管の中は屋外の空撮とはまるで違います。衛星の電波が届かず、機体は自分の位置を知れません。暗く、壁が近く、水面や粉塵が視界を乱すなかを、オペレーターは映像だけを頼りに進めます。非GPS環境に特化した小型のIBIS2と、球体ガードで機体を守るELIOS 3を、管の太さや障害物の多さで使い分けています。

よくある質問

自分の自治体が対象かどうか、どこで分かりますか

自治体の公式サイトで公開されています。「(自治体名)下水道 特別重点調査」で検索し、結果表を直接ご確認ください。国土交通省の報道発表資料には全国の状況がまとまっています。

対象になる管路の条件は何ですか

管径2メートル以上で、平成6年度以前に設置された下水道管路です。全国で約1万キロメートルが該当します。このうち八潮市の現場と似た条件の箇所など4つの条件に当てはまる箇所は、優先実施箇所として先に調査することとされました。

緊急度Iと判定されたら、いつまでに対策が必要ですか

原則1年以内です。緊急度IIは応急措置をしたうえで5年以内とされています。実際の工事の時期は自治体の予算と段取りによって決まりますが、判定された延長がそのまま後工程の規模になります。

通常の点検と判定の基準は同じですか

違います。全国特別重点調査では基準が厳しく設定されており、通常なら緊急度Iにならない状態でも緊急度Iと判定されます。通常の点検結果と単純に比べないでください。

人が入れない細い管はどう調べますか

カメラを押し込む方式が届かない場合、管内を飛行するドローンが選択肢になります。ケーブルを物理的に送り込む必要がないため、段差や長距離で止まっていた区間にも入れます。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』について

株式会社清美環は、神奈川県相模原市で下水道管や排水管の清掃を30年以上手がけてきた会社です。管の中がどう汚れ、どこに汚泥がたまり、水位や段差がどう調査を妨げるか。硫化水素の危険がどこにひそむか。清掃で体に入っている知識が、点検映像の読み解きに直結します。

点検で終わらせない

管内調査で堆積物が映ったとき、それが洗浄すれば流れる汚れなのか、管の破損によるものなのかを現場感覚で切り分けられます。詰まりや堆積が見つかれば、そのまま清掃まで一括で対応します。点検会社と清掃会社を別々に手配する手間が要りません。

これまでに、中部地方で全長100メートルの下水道管、関西で薬品タンクの内部、北陸で高さ30メートルの焼却炉煙突を調査しました。ドローンを導入したものの管内で飛ばせないという点検・調査会社からは、操縦だけを引き受ける委託もお受けしています。

まとめ 調べて終わりではなく、その先の量をどうさばくか

全国特別重点調査の対象は、管径2メートル以上で平成6年度以前に設置された管路です。調査は管の内側と路面の下の2本立てで、結果は緊急度I・II・IIIに判定されます。緊急度Iは原則1年以内、緊急度IIは5年以内という期限が付きます。まずは自分の自治体の公表ページで、対象延長と判定の内訳を確認してください。

そのうえで考えるべきは、判定の先に控える物量です。全国で748キロメートルが対策を要すると判定されている以上、調査も工事も同じ時期に集中します。全部を同じ精度で見ようとせず、先にふるい分けて危ない箇所へ資源を寄せる。期限のある調査では、この順番が効きます。

調査量が読みきれない段階でも構いません

対象になりそうな管路の相談、調査計画の立て方、他社で飛ばしきれなかった現場の操縦委託まで。現場の規模と条件をお聞かせいただければ、近い事例をもとに進め方をご提案します。

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