受水槽の内部点検をドローンで済ませられないか、という相談が各所で増えてきました。背景にあるのは、水を抜いて人が槽の中に入る従来の進め方の重さでしょう。断水や片側運転の調整、槽を空にして乾かす待ち時間、閉鎖空間に立ち入るための安全対策。点検そのものより、その前後の段取りに日数と費用がかかってきました。
ところが「受水槽 内部点検 ドローン」で情報を集めると、水の中を進むタイプの機体と、空気中を飛ぶタイプの機体の話が混ざって出てきます。呼び名はどちらもドローンなので、自分の槽にどちらが当てはまるのかが見えにくいところ。この記事では、受水槽の内部を確認する方法を三つに整理し、開放点検との違いと向き不向きを、下水道管の清掃を三十年以上続けてきた清美環の視点で並べます。
受水槽の内部点検で、そもそも何を見ているのか
方法の話に入る前に、内部で確認している対象をはっきりさせておきましょう。受水槽は水道本管から届いた水を一度ためて建物内へ配る設備で、水道法や自治体の条例に基づいて清掃と検査の管理が定められています。管理の対象になるのは、槽そのものの状態と、中の水の状態の両方。

槽の内部で見ているのは、おおむね次のような点になります。底面にたまった汚泥やさびの量、内壁の塗装やライニングの劣化、パネルの継ぎ目やボルト周りのにじみ、天井裏面の結露や剥離、通気口の防虫網の破れ、ボールタップや水位計といった内部部品の作動。いずれも外側から槽を眺めているだけでは判断がつきません。
外観に異状がなくても内部で劣化が進んでいる、という食い違いが起きるのが受水槽という設備の性質です。だからこそ、どうやって内部を見るかという手段の問題が、点検計画そのものの重さを左右してきました。
関連記事:受水槽の点検を定める法律|年1回の清掃と検査、届出は自治体別
受水槽の内部を確認する三つの方法
実務で選択肢に上がるのは、大きく分けて三通り。水を抜いて人が入るか、水を張ったまま水中を進む機材で見るか、水面より上の空間を飛ぶ機体で見るか、という違いになります。
水を抜いて人が入る開放点検
もっとも古くからある方法で、多くの現場では年次の清掃と同じ日程に組み込まれてきました。槽を空にし、有資格者が内部に立ち入って清掃したうえで、底面と内壁の状態を直接目で確かめます。触って確かめられる、たたいて音を聞ける、気になった箇所へ顔を近づけられるという点で、得られる情報の確からしさは他の方法を上回るでしょう。
負担が出るのは段取りのほう。二槽式であれば片側ずつ運転して断水を避けられますが、単槽の建物では給水を止める調整が必要になります。加えて槽内は閉鎖空間にあたるため、換気、酸素濃度の測定、監視員の配置といった安全対策が前提。作業後は消毒と水質確認の工程も控えており、一日仕事になることが珍しくありません。
水を張ったまま調べる水中ドローン(ROV)
ケーブルでつながれた小型の水中機を槽内へ沈め、水中カメラの映像で内部を確認する方法です。潜水調査を手がける会社が、配水池や水槽の内部調査、取水管の撮影といった用途で使ってきました。水を抜かずに底の堆積や壁面を見られるため、断水を伴わない点が最大の利点になります。
一方で、映像の質は水の濁りに大きく左右されます。堆積物が舞い上がれば視界は一気に落ち、細かなひび割れの判別は難しくなるでしょう。飲料水をためる槽へ機材を沈めるという性質上、機体やケーブルの洗浄と消毒をどう担保するかも、実施の前に整理しておく論点になります。
気中を飛ぶ小型ドローンで映像を撮る
三つめが、水面より上の空間、いわゆる気相部を飛んで内壁や天井裏面を撮影する方法。工場の貯蔵タンク内部をドローンで点検した事例や、プラントの埋没配管の気相部、下水処理場で下水が流れている区間の気相部を水中ドローンと組み合わせて確認する取り組みが、設備点検の分野で報告されています。
飛行式の機材は、床を走る機材と違って段差や堆積物に進路をふさがれません。天井近くまで上がって上向きに撮れる点も、床置きのカメラでは代えがたいところ。ただし機体が通れる点検口の寸法、槽内の明るさ、そして万一の墜落時にどう回収するかという条件が、実施できるかどうかを分けます。
開放点検と映像確認の違いを、四つの軸で比べる
三つの方法は優劣で並ぶものではなく、得られるものと払う手間が違うだけ、と捉えるほうが実態に近いはずです。比較の軸を四つに絞ってみましょう。

- 水の扱い 開放点検は排水と乾燥が前提、水中機は満水のまま、気中機は水位を下げた状態か気相部のみ
- 見える範囲 開放点検は全面、水中機は水没部と底面、気中機は水面より上の内壁と天井裏面
- 記録の残り方 開放点検は所見と写真、機材を使う方法は連続した映像データ
- 準備の重さ 開放点検は断水調整と安全対策、機材を使う方法は点検口の確保と衛生面の取り決め
ここで見落とされやすいのが、二段落目の「見える範囲」でしょう。水中機と気中機は、同じ槽を見ていても担当している領域が違います。底にたまった堆積を知りたいのか、水面から上の内壁のさびや塗装の剥離を知りたいのか。知りたい対象がどこにあるかで、そもそも選ぶべき機材が変わってきます。両方を一度に押さえたいのであれば、開放点検が結局は近道になる場面も出てくるでしょう。
記録の残り方についても、実務では差が出てきました。所見と数枚の写真では、来年の点検時に「去年より進んだのか」を比べにくい。映像データで残っていれば、同じ位置の経年変化を並べて確認できます。更新計画を数年がかりで立てる立場なら、この差は効いてくるはずです。
受水槽でドローンが向く場面と、向かない場面
ここははっきり書いておきたいところ。受水槽にドローンを入れられるかどうかは、一律には決まりません。
比較的やりやすいのは、有効容量が大きく、人が出入りする前提の点検口が確保されていて、内部の天井が高い槽。機体が飛べる空間の余裕があり、進入と回収の経路がはっきりしているためです。逆に難しくなるのは、パネル式で内部に補強材や仕切りが張り出している槽、点検口が小さく機体が通らない槽、そして水を張ったまま気中機を飛ばそうとする場面でしょう。
加えて、飲料水をためる槽ならではの制約があります。機体が墜落したときに部品や汚れが槽内へ残る事態は、水質の管理上そのままにできません。回収と洗浄、場合によっては清掃のやり直しまで含めて、事前に手順を決めておく必要が出てきます。受水槽や貯水槽については、清美環は機体を投入する対応を標準の業務としていません。墜落時の衛生上の影響と、飲料水設備という性格を踏まえての判断になります。
とはいえ、槽の形状や点検口の条件、水位の扱い次第で取り得る手が変わるのも事実。受水槽の内部をどう確認するか迷っている段階でしたら、方法の整理と、どこまでが機材で見られてどこからは開放点検が要るのかという線引きから、相談していただいて差し支えありません。
方法を決める前に確かめておきたい条件
どの方法を選ぶにせよ、先に手元で確認しておくと話が早く進む項目があります。図面と現地写真があれば、おおむね判断がつくはず。
- 点検口の寸法と位置 開口の大きさと高さ、はしごの有無で、人が入るのか機材を入れるのかが決まります
- 槽内部の構造 パネル式の補強材、仕切り板、配管の張り出しは、機材の通り道をふさぎかねません
- 水位をどう扱えるか 断水できる時間帯があるのか、二槽式で片側ずつ止められるのかで選択肢が変わります
- 記録として何が必要か 所見の書面で足りるのか、経年比較のための映像が要るのかを先に決めておくと手戻りがありません
河川構造物の維持点検では、対象ごとに地上歩行ロボット、トイドローン、水上ドローン、水中カメラ、水中ドローンといった機器を実際に試し、どの条件でどれが使えたかを検証した報告もあります。径六百ミリ以内の樋管の函体といった条件と機器を突き合わせた検討は、閉鎖空間の点検が「機材ありき」ではなく「条件ありき」で決まることをよく示していました。
清美環が標準で対応しているのは、下水道管とマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー本体、ピット内、天井裏、ダクト内、プラント設備の内部といった閉鎖空間の点検調査になります。こうした設備の点検方法を検討中でしたら、対象と口径、延長をお聞かせいただければ近い条件の事例をもとにお答えしますので、無料相談とお見積りはお問い合わせページからお気軽にどうぞ。
清美環が飛ばしているのは、管と大型タンクの内部
私たちが管内点検ドローン『フクロウ』で入っていくのは、人が通れる口径のある管と、人が入りたくない閉鎖空間のほうです。受水槽のように水質管理が絡む飲料水の設備ではなく、下水道管、焼却炉の内部や煙突、薬品や油をためる大型タンク、ボイラー本体といった領域が主戦場になってきました。
管や槽の内部を飛ばす操縦は、屋外の空撮とは別の技能を要します。中には衛星の電波が届かず、機体は自分の位置を知る手がかりを持ちません。暗く、壁が近く、粉塵や水面が視界を乱す環境で、オペレーターは機体から届く映像だけを見て進めていく。この方式をFPVと呼び、屋外で安定して飛ばせる操縦者がそのまま管内を飛ばせるとは限らないのが実情でしょう。
機体は現場条件で使い分けています。非GPS環境に特化した小型のIBIS2は、狭く入り組んだ管や開口部の小さい設備に向いた機体。球体ガードで囲ったELIOS 3は、接触の可能性が高い場所や障害物の多い槽内で力を発揮します。進め方も二段階で、まず全体を一気に飛んで映像で押さえるスクリーニング調査を行い、異状が疑われる区間だけを本格調査でじっくり確認する組み立て。当社の実績では、スクリーニング調査によって通常の1.5倍から1.6倍の距離を同じ時間で調査できました。映像と報告書はデータで納品しており、更新計画の資料にそのまま使えます。
実績としては、中部地方で中規模の下水道管を約100メートルにわたって調査したほか、関西では薬品タンクの内部調査、北陸では焼却炉の煙突を高さ約30メートルにわたって点検してきました。本業として下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃を三十年以上続けてきたため、点検で堆積や詰まりを見つけたらそのまま清掃まで引き受けられます。点検会社と清掃会社を別々に手配する手間が省ける点は、量をさばきたい現場ほど実感していただけるところ。
すでにドローンを保有していて管内や槽内を飛ばしきれないという点検・調査会社に向けては、操縦だけを引き受ける対応もしています。機体はあるが人がいないという場面では、操縦委託の相談窓口をご利用ください。
受水槽の内部点検で迷ったら、方法の整理から相談を
受水槽の内部点検には、水を抜いて人が入る開放点検、水を張ったまま調べる水中ドローン、水面より上を飛ぶ小型ドローンという三つの道筋があります。どれが優れているという話ではなく、知りたい対象が水中にあるのか気相部にあるのか、断水の調整がつくのか、点検口が機材を通せる寸法なのかによって、選ぶべき手が変わってくるだけ。飲料水をためる設備という性格上、機材を投入する場合は衛生面の取り決めまで含めて事前に設計しておく必要があります。
清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、下水道管、焼却炉、大型タンク、ボイラー、ピット、ダクトといった閉鎖空間の点検調査をお引き受けしてきました。受水槽については機体投入を標準対応としていないため、可否の判断や方法の整理という形でのご相談になります。そのうえで、管や大型タンクの点検をお考えでしたら、対象設備と口径、延長、これまでの調査履歴をお聞かせいただければ、近い事例をもとに進め方を具体的にご提案しましょう。
関連記事:タンク内部点検の頻度は原則年1回|3年に1回と免除になる条件
無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。現場の条件によって進め方は変わりますので、まずは今の状況をお聞かせください。
