管内点検ドローン『フクロウ』/BLOG
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下水道の腐食対策調査の進め方|腐食しやすい区間の見当と優先順位

下水道の腐食対策調査の進め方|腐食しやすい区間の見当と優先順位

下水道管の腐食対策の調査は、硫化水素がたまりやすい区間の見当を台帳と図面でつけ、その区間を含む路線を映像で全線見て、腐食が映った区間だけを管の厚さを測って原因まで確かめる調査に回す順で進めると、限られた予算で対策の優先順位をつけられます。映像からは、表面の荒れや骨材・鉄筋の露出、堆積物といった表面の状態より先は分かりません。コンクリートの強度や残りの厚さ、中性化の深さ、硫化水素の濃度が要る区間には、別の調査を組み合わせます。

書き手の清美環は、下水道管の清掃を30年以上続けてきました。管内点検ドローン『フクロウ』で、機体が入れる口径の下水道管とマンホールを撮る調査も請け負っており、引き受けるのは映像による点検調査と、点検で見つけた堆積や汚泥の清掃までです。

下水道の腐食対策の調査は、腐食しやすい箇所の洗い出しから始める

下水道管の腐食対策の調査で最初にするのは、硫化水素で腐食しやすい箇所を管路の中から洗い出すことで、法令も腐食しやすい箇所には点検の頻度を定めています。下水道法施行令第5条の12は、公共下水道と流域下水道の排水施設のうち、下水の貯留などで腐食するおそれが大きいものを、5年に1回以上の頻度で点検するよう定めました。

見当づけから優先順位までの調査手順

対象は下水道法施行規則第4条の5が決めており、暗渠の部分を持ち、コンクリートなど腐食しやすい材料で造られた排水施設のうち、2種類の箇所とその周辺に限られます。1つは下水の流路の勾配が著しく変化する箇所か高低差が著しい箇所、もう1つは伏越室の壁など多量の硫化水素の発生で腐食のおそれが大きい箇所です。腐食を防ぐ措置が講じられた施設は、5年に1回以上の対象になりません。ここまでは今の定めで、点検の頻度と方法の基準を強める改正下水道法(令和8年7月23日公布)は、公布から6か月以内に施行されます。

実際の対象箇所は、段差や落差の大きい箇所、圧送管の吐出し先、伏越しの下流などを参考に、各自治体が腐食の実績を踏まえて選ぶものとされています(国土交通省「下水道管路メンテナンス年報」)。5年に1回の点検の対象として選んだ箇所の一覧があれば、腐食対策の調査の出発点にそのまま使えるでしょう。

硫化水素がたまりやすい区間の見当をつける手がかり

硫化水素がたまりやすい区間の見当は、硫化物が下水の中で生まれやすい場所と、硫化水素が空気中へ出やすい場所が重なる所につけます。国の「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」は、令和8年10月に検討とりまとめを公表しました。とりまとめは、圧送管のように酸素のない状態で硫化物が生成しやすい条件と、落差の大きい箇所のように硫化水素が放散しやすい条件が重なると、腐食するおそれが大きくなると整理しています。

同じとりまとめは、硫化物が生成しやすい箇所でなくても、硫化水素が放散しやすい環境なら腐食するおそれが大きいと考えるのが妥当だ、ともしました。上流に圧送管がない落差の箇所も、候補から外せません。

候補になる9つの場所と拾い方

検討とりまとめは、腐食するおそれが大きい箇所の例として9つの場所を挙げており、手元の資料ごとに分けると拾い方は次の3つです。どれか1つに当たる箇所が、見当をつける候補になります。

  • 台帳と図面で拾う箇所:圧送管の吐出し先、圧送管や管内で下水がたまる部分の気相部(水面より上の空気がある部分)、伏越室の壁や伏越しの下流部、落差や段差の大きい箇所、下水がかき混ぜられやすい勾配の箇所
  • 流れ込む水の種類で拾う箇所:ビルピットの排水が出る箇所、溶存硫化物や硫酸塩を多く含む特殊な排水が出る箇所、海水を含む地下水が入り込む箇所
  • 管の中の状態で拾う箇所:曲がっている所や流れの遅い所など、汚泥がたまりやすい箇所

とりまとめはあわせて、腐食しやすい箇所を決めたり見直したりするときは、計画流量のような設計上の条件ではなく、実際の流量など施設の今の状態で判断するよう求めました。清掃や点検の記録に、堆積がたびたび見つかる区間や水がよどむ区間が残っていれば、台帳の上では当たらなくても候補に加えましょう。

硫化水素の濃度を測った記録があれば、候補の中でどこから見るかを考える材料になります。検討とりまとめによると、全国特別重点調査のうち腐食しやすいなど弱点を持つ優先実施箇所では、硫化水素ガスの平均濃度が高い箇所ほど、腐食が進んでいる割合が高い傾向が確かめられました。

スクリーニング調査で、腐食が表面に出ている区間を拾う

見当をつけた箇所を含むマンホールの間は、まず全線を映像で見て、腐食が表面に出ている区間を拾います。

ドローンで映る範囲と映らない範囲の断面図

管口カメラやマンホールの中からの目視を概略点検(異状の有無を確かめる点検)に使えるのは、マンホールの間の全線にわたって健全かどうかを見分けられる場合に限る、と検討とりまとめは整理しています。マンホールの間が長い区間や曲がりのある区間では、テレビカメラやドローンのように管の中に機器を入れる方法を選ぶことになるでしょう。

映像で分かる腐食と、映像では分からないこと

映像で分かるのは、コンクリートの表面が荒れた状態、骨材(コンクリートに混ぜた砂利)が露出した状態、鉄筋が露出した状態、腐食した鉄筋の錆汁といった表面の変化です。管の底にたまった堆積物の位置と量も、映像に残せます。

一方で、コンクリートの強度や管の残りの厚さ、中性化の深さ、硫化水素の濃度などは、映像では測れません。表面の荒れや骨材の露出が、硫化水素によるものか、中性化や摩耗、風化によるものかも、映像からは決められません。とりまとめは、外見の状態だけで「腐食」と一括りに診断されている例があったとして、硫化水素の濃度や管の壁のpHを測り、原因を分けて診断する考え方を示しました。

水面より下と、堆積物に覆われた管の底も映りません。映らなかった範囲は「異状なし」に含めず、映らなかった範囲として報告書に残してもらいましょう。

ドローンで全線を見るときの条件

管内点検ドローンは管の底を走らず、水面より上の気相部を飛ぶため、管の上部に機体が通れる空間があれば、腐食の出やすい気相部の壁をマンホールの間にわたって撮れます。先へ進めるかどうかは、口径と水位、堆積や段差に加えて、操縦の電波と電池の持ちに関わる進入口からの距離と曲がりでも変わります。機体が入れる口径や、飛べる水位と風速の条件は、国土技術政策総合研究所の『下水道管路調査機器カタログ』に機種ごとに載っていました。

検討とりまとめは、飛行式のドローンを、今の一般的な技術レベルでは概略点検にあたるとし、十分に見えるときや管路内の状況によって健全度を区分できる場合は、詳細点検として扱えると整理しました。腐食の程度や原因は、次の節の測る調査と組み合わせて確かめましょう。

硫化水素による腐食が疑われる区間は、硫化水素が発生しやすい区間と重なります。清美環が使うELIOS 3は防爆仕様ではなく、メーカーは燃えやすい物質や爆発しやすい物質がある場所、あるとみられる場所での飛行を禁じています。ドローンは、事前の換気とガス検知で可燃性ガスがないと確かめた区間にしか入れません。

見当をつけた箇所の一覧と、口径、マンホールの位置が分かる資料があれば、ご相談の際にお知らせください。管内点検ドローン『フクロウ』への無料相談・お見積りは、お問い合わせページからご連絡ください。

腐食が映った区間は、測る調査で程度と原因を確かめる

映像で腐食が映った区間は、管の厚さや壁のpH、硫化水素の濃度を測る調査に回し、腐食がどこまで進み、何が原因かを確かめます。検討とりまとめが示した鉄筋コンクリート管の診断基準(案)は、硫化水素による腐食について、骨材や鉄筋が露出した広さに加えて、腐食の進む速さも判定に使います。1年に3〜5mm進む場合は健全度Ⅱ、5mm以上の場合は健全度Ⅲに当たる案で、進む速さは1回の映像からは読めません。

詳しい調査で測る主な項目は、次のとおりです。

  • 管の厚さ:残っている厚さを確かめる
  • 管の壁のpH:硫酸で腐食したコンクリートはpHが下がるため、硫化水素による腐食かを見分ける
  • 硫化水素ガスの濃度:検討とりまとめでは、少なくとも夏と冬に、拡散式の測定器で続けて測り、年間の平均を出す
  • 打音:壁をハンマーでたたいた音の違いから、表面の浮きや剥離を探る

このほか、コンクリートの強度や中性化の深さを調べる試験もあります。測る調査は、コンクリートの試験や下水道の調査を行う会社に頼むことになるでしょう。

管の壁のpHや打音のように、人が管に入る調査もあります。汚水を流している、または流したことのある下水道管やマンホールの中は、労働安全衛生法施行令の別表第6第9号に挙がる酸素欠乏危険場所です。事業者は、その日の作業を始める前に酸素と硫化水素の濃度を測り、原則として換気しなければなりません(酸素欠乏症等防止規則第3条・第5条)。

調査結果から、腐食対策の優先順位をつける

腐食対策の優先順位は、腐食の程度と原因に、壊れたときの影響を重ねて決めます。同じ傷み方でも、腐食が早く進む箇所や、壊れたときの影響が大きい管路ほど先に回すためです。

腐食の程度は、今の基準と見直しの案の両方で読む

今の診断では、腐食を3段階のランクで見る基準が使われてきました。国土交通省の検討会資料(令和7年8月)に載っている基準は、鉄筋が露出した状態をランクA、骨材が露出した状態をランクB、表面が荒れた状態をランクCとし、マンホールの間の全体で評価します。腐食のランクは、たるみや破損のランクと組み合わせて緊急度Ⅰ(速やかに措置が必要)からⅢまでを判定する材料です。腐食による不具合が見つかったときは、緊急度とは別に腐食対策を検討するとされていました。

検討とりまとめは、診断の区分を、対応の急ぎ具合を示す緊急度から、施設の状態を示す健全度Ⅰ〜Ⅳと診断保留に改め、異状のある箇所ごとに診断する方向を示しました。硫化水素による腐食で鉄筋が広い範囲で露出した状態は健全度Ⅳ(緊急措置段階)、骨材だけが広い範囲で露出した状態は健全度Ⅲ(早期措置段階)に当たる案です。国の技術基準は、検討とりまとめを踏まえて見直される予定です。

見直し前の診断結果を新しい区分に直すときは、点検したときの画像などをもとに診断し直すとされました。異状のある箇所ごとに位置と状態を記録し、映像そのものも保存しておけば、基準が変わった後も同じ箇所を読み直せます。

硫化水素による腐食は、進む速さを見て先に手を打つ

同じ傷み方でも、硫化水素による腐食と分かった箇所は、先に手を打つ候補になります。とりまとめは、硫化水素の濃度が高い状態では、中性化など他の劣化要因と比べても著しく早く腐食が進むことが知られているとして、硫化水素による腐食を特定し、速やかに対策するよう求めました。

見直しの案は、重要管路(流域下水道の管路や管径2m相当以上の管路など)で年間平均の硫化水素ガス濃度が50ppm以上と測定された箇所のうち、防食の措置がないコンクリートなどの暗渠を、3年に1回以上点検するとしました。重要管路以外の管路でも、腐食するおそれが大きく防食の措置がないコンクリートなどの暗渠は、5年に1回以上とする案です。頻度は、国の技術基準の見直しを経て決まります。

汚泥の堆積が映った区間は、清掃も対策の候補になる

映像で汚泥の堆積が見つかった区間では、清掃を腐食対策の候補に加えてください。国土交通省の検討会資料は、日本下水道協会の手引きをもとに、管きょ内の堆積物の清掃を、下水や汚泥の中で硫化物ができるのを抑える発生源対策の1つに挙げていました。清掃で足りるか、防食や更生まで要るかは、測る調査の結果をもとに、管理者が補修の設計を担う会社と決めることになるでしょう。

清美環が引き受ける調査と、ほかの会社に頼む調査

清美環が引き受けるのは、管内点検ドローン『フクロウ』による映像の点検調査と、点検で見つけた堆積や汚泥の清掃です。調査は2段階で、スクリーニング調査では見当をつけた区間を含む路線を通して撮り、本格調査では異状が疑われた箇所に絞って、測る調査ではなく映像で詳しく撮り、映像と報告書はデータで納品します。

機体は1種類ではありません。非GPS環境に特化した小型のIBIS2と、球体のガードを付けたELIOS 3の2種類から、現場の条件に合わせて選びます。堆積に阻まれて機体が先へ進めない区間の清掃も、清美環が引き受けます。

清美環では、腐食の補修や防食の工事、その設計を行っておらず、腐食の程度や原因を調べるための硫化水素の濃度や管の厚さ、pHの測定も行っていません。宅内の排水管と水道の配水管も、清美環では機体を入れる対象にしていません。受水槽と貯水槽は、機体が落ちたときに飲み水の衛生へ影響するため、対象から外しています。

相談の前に手元でそろえる資料

相談の際には、次の4つの資料をお知らせください。

  • 腐食しやすい箇所の一覧:5年に1回の点検の対象箇所と、圧送管の吐出し先、伏越し、落差の位置
  • 管路の台帳:口径、管種、延長、マンホールの位置
  • 過去の記録:点検の結果、清掃で堆積を取った区間、硫化水素の測定値
  • 水の状態:流量や水位が下がる時間帯

全部がそろっていなくても、ある分から相談を始めてかまいません。

下水道の腐食対策の調査を『フクロウ』に相談する

下水道の腐食対策の調査は、腐食しやすい箇所の見当を台帳と記録でつけ、その区間を含む路線を映像で全線見て、腐食が映った区間だけを測る調査に回す順で組むと、対策の優先順位を根拠のある形で決められます。

私たち清美環は、30年以上続けてきた下水道管の清掃に加えて、管内点検ドローン『フクロウ』で下水道管とマンホールの中を撮る調査も引き受けており、機体はあるのに管内を飛ばせる人がいない点検・調査会社からは、操縦だけの委託も操縦委託のお問い合わせで受け付けています。

無料相談・お見積りはお問い合わせページから、お急ぎでしたらお電話(042-765-4100、平日9時から18時)でご連絡ください。

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