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下水道の硫化水素の濃度測定と記録|腐食した管に取れる対策の種類

下水道の硫化水素の濃度測定と記録|腐食した管に取れる対策の種類

下水道の硫化水素について濃度の測り方を調べる方は、実務の手前で足踏みしているのではないでしょうか。何を使って測るのか、いつ測れば足りるのか、測った値をどう残すのか。そして値が高かったとき、管に対して何ができるのか。

この記事では、法令が求める測定のタイミングと記録の中身、測定器の選び分け、腐食した管に取られる対策の種類までを順に並べます。書き手は清美環。下水道管の清掃を三十年以上手がけ、いまは管内点検ドローン『フクロウ』で管やタンクの内部を飛ばしています。

硫化水素の濃度測定は、施設ではなく作業のたびに義務がかかる

下水道管やマンホールの内部は、労働安全衛生法施行令の別表第六第九号が挙げる酸素欠乏危険場所に含まれます。し尿や汚水など腐敗しやすい物質を入れたことのある管やマンホールが、条文に名指しで並んでいるため。ここでの作業は、酸素欠乏症等防止規則第二条第八号がいう第二種酸素欠乏危険作業に当たります。

測定の根拠は同規則第三条第一項。第二種の作業場については、その日の作業を開始する前に、空気中の酸素および硫化水素の濃度を測定するよう事業者に義務づけています。読み落としやすいのは、義務のかかり方のほう。設備に対して年に何回測れという定め方ではなく、人を入れる作業が起きるたびに測る建て付けになっています。

測るのは作業主任者、タイミングは三つある

誰が測るのかも条文が決めています。第二種の作業では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選任し(同規則第十一条第一項)、その職務に濃度の測定が入りました(同条第二項第二号を第三項で準用)。

指定されている測定のタイミングは三つ。その日の作業を開始する前、作業に従事するすべての労働者が作業を行う場所を離れた後に再び作業を開始する前、そして労働者の身体や換気装置等に異常があったときです。昼をはさんで全員が地上へ上がり、午後にもう一度下りるなら、そこでも測り直すことになります。一日一回で足りるという読み方は、条文の並びからは出てきません。

測定器は、方式と空気の取り込み方で選び分ける

同規則第四条が求めているのは、測定器具を備えておくか、容易に利用できるようにしておくこと。当日に手配を始める段取りは、条文の想定に入っていません。

地上から測る三つの測定方法を示す図解

測る方式は大きく二つ。ひとつが検知管式で、手動のポンプで決まった量の空気を吸い込み、検知管が変色した長さを目盛りで読みます。もうひとつがセンサー式。硫化水素には定電位電解式のセンサーが広く使われ、酸素と同じ本体に表示でき、値の動きを連続して追えます。

人が下りずに測れる形かどうかで決まる

蓋を開けた地上から中を測る場面では、空気の取り込み方が効いてきます。吸引式は、ポンプで数メートル先の空気をホース越しに吸い上げる形。センサー分離型は、センサー部をケーブルでつないで内部へ下ろす形。どちらも、人が入らないまま深さごとの値を拾えます。

いっぽう、本体まわりの空気をそのまま測る拡散式は、作業者が身につけて中の変化を監視する使い方。立ち入り前の確認には、届く形の器具を別に用意することになります。

器具の管理も作業主任者の職務で、同規則第十一条第二項第三号は測定器具や換気装置の点検を挙げています。センサー式は経年で感度が変わるため、メーカーが定める間隔での校正が前提。校正の切れた器具が出した数字は、記録に残しても判断の材料になりません。

測った値は、性格の違う二種類の記録として残る

測定の後には記録の義務が続きます。酸素欠乏症等防止規則第三条第二項が求めているのは、測定のつど次の七項目を記録し、三年間保存すること。

  • 測定日時
  • 測定方法
  • 測定箇所
  • 測定条件
  • 測定結果
  • 測定を実施した者の氏名
  • 測定結果に基づいて酸素欠乏症等の防止措置を講じたときは、その措置の概要

数値だけを書き留めた紙は、条文の求める記録になりません。どこで、どんな条件で、誰が測り、その結果を受けて何をしたのか。そこまで残して、はじめて後から読み返せます。

施設の側には、別の記録が要りました。下水道法施行令第五条の十二第一項第二号が定める点検について、下水道法施行規則第四条の五第二項第二号は、点検の年月日、点検を実施した者の氏名、点検の結果を記録し、次に点検を行うまでの期間保存することを求めています。

二つは目的が違います。前者は人を入れる作業の安全を確かめた記録で、後者は施設がどうなっているかを確かめた記録。空気の値と管の状態は別に追いかける情報で、片方の書類がもう片方の代わりを務める関係にはありません。

同じ箇所の値を並べると、設備の変化が読める

三年分の測定記録は、義務として保管するだけの紙束にもなれば、同じマンホールの値の並びにもなります。季節ごと、時刻ごと、清掃の前と後。測定箇所と測定条件まで書き残す様式は、比べるには足りる情報量を持っていました。どの区間から手をつけるかを決めるとき、最初の材料はすでに手元にあります。

換気で下げる段取りと、下がらないときの読み方

測った値が基準を超えていれば、次は換気。到達点は同規則第五条第一項が定めており、酸素の濃度が十八パーセント以上、かつ硫化水素の濃度が百万分の十(10ppm)以下です。あわせて第三項が、換気に純酸素を使ってはならないと定めました。酸素の値を早く上げようとボンベを吹き込む手は、条文の側にありません。

機械換気の組み方は、酸素欠乏危険作業の教育テキストが三つに整理しています。送風機で空気を送り込む給気式、内部から抜く排気式、両方を行う給排気式。排気式ではダクトの先を最深部、つまり給気側の対角線にあたる位置へ置くのがよいとされ、給気と排気の口が近すぎると送った空気がそのまま抜ける「短絡」が起きました。

同じテキストが挙げる一般的な対応も具体的です。測定結果が基準を満たさない場合は、その場所の気積の五倍以上の新鮮な空気を送気してから濃度を測り直し、安全を確かめる。作業中は作業者一人あたり毎分十立方メートル以上を目安に、一時間あたり二十回以上の割合で内部を均一に換気できるよう送気を続ける。換気は一度回して終わりではなく、測定と対にして回す作業でした。

ここで道が分かれます。送気を続ければ基準内に収まる区間と、止めるとすぐ値が戻る区間。後者は、空気を入れ替える速さより中から出てくる量が上回っている状態で、送風機を増やすより管そのものへの手当てを考える段階です。

腐食のおそれが大きい区間には、五年に一回以上の点検が定められている

点検の頻度のほうは、下水道法の政令にありました。下水道法施行令第五条の十二第一項第二号は、公共下水道等の点検を、構造や流入する下水の状況を勘案して適切な時期に、目視その他適切な方法により行うことと定めています。そのうえで同項第三号が、下水の貯留その他の原因により腐食するおそれが大きいものとして国土交通省令で定める排水施設については、五年に一回以上の適切な頻度で点検を行うよう求めました。

この「国土交通省令で定める排水施設」を受けているのが、下水道法施行規則第四条の五第一項。腐食しやすい箇所を具体的に挙げたうえで、暗渠である構造の部分を有する排水施設のうちコンクリートその他腐食しやすい材料で造られているものを対象とし、腐食を防止する措置が講ぜられているものは除くという条件を付けています。

防食の手当てが済んでいるかどうかが、五年に一回という頻度の義務がかかるかどうかを分けているということ。対策は安全のための上乗せにとどまらず、維持管理の負担そのものに関わってきます。

政令はその前後も定めました。第一項第一号は、適切な時期に巡視を行い、清掃、しゅんせつその他の機能を維持するために必要な措置を講ずること。第四号は、点検などで損傷や腐食といった異状を把握したときは、効率的な維持および修繕が図られるよう必要な措置を講ずること。見つけたまま置いておく道は、政令の側に用意されていません。

五年に一回という頻度を、どの区間から、どんな方法で回していくか。管路の延長と口径、点検の履歴をお聞かせいただければ、近い現場を引き合いに進め方をお答えします。無料相談とお見積りの窓口はお問い合わせページで、管内点検ドローン『フクロウ』の担当が受け付けています。

腐食が進んだ管に取られる対策は、三つの方向に分かれる

硫化水素で傷んだ管に対して現場が選んできた手は、目的で三つに分けられました。発生する量を減らす方向、材料を守る方向、管そのものを作り直す方向。

腐食した管への三つの対策を比較する図解

発生する量を減らす

管底にたまったものを抜き、流速を確保する清掃としゅんせつが、いちばん手前の手当て。政令が維持管理の基準にこの二つを名指しで挙げているのも、機能の維持に直結するからでしょう。薬剤を注入して発生そのものを抑える方法もありますが、流入する下水の性状で効き方が変わります。

材料を守る

いま入っている管の内面を、樹脂やモルタルの被覆で覆う防食の手当て。塗る形、シートを貼る形などがあり、新設や更新の機会であれば耐硫酸性を高めた材料そのものを選ぶ道もありました。施行規則が「腐食を防止する措置」と呼ぶのは、この方向です。

管そのものを作り直す

断面が痩せて被覆では持たない段階になると、更生工法に移ります。更生工法は、反転工法、形成工法、製管工法、さや管工法の四つに分かれてきました。樹脂を含ませた更生材を管内へ挿入し、圧力で内面に密着させて熱で硬めるのが反転工法。筒状の更生材を空気や水で管の形に膨らませてから硬めるのが形成工法。既設管の内側に部材を組み上げて新しい管をつくるのが製管工法。既設管より小さい管をあらかじめ製作し、中へ敷設するのがさや管工法。これらが成り立たないほど傷んでいれば、開削して入れ替える布設替えになります。

費用も工期も工法で大きく変わるので、比較は設計と見積の段階の仕事。清美環が担うのは点検と清掃で、更生工事そのものは請け負っていません。

どの対策を選ぶかの前に、管の中の状態を映像で押さえる

三つの方向のどれを取るかは、いまどこがどれだけ傷んでいるかで決まります。政令が点検を「目視その他適切な方法」と書いているとおり、腐食の程度は中を見て初めて分かるもの。ところが、傷んでいる疑いがある管ほど、人を立ち入らせる段取りは重くなりました。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、その内部を映像で記録して持ち帰る機体です。納品は映像と報告書のデータで、点検の年月日と実施者、結果を残す記録にそのまま添えられます。延長の長い管路で五年に一回を回すとなると、量をこなせるかどうかも現実の問題。全線を飛んで気になる区間をふるい分けるスクリーニング調査を先に置く進め方で、当社の実績では同じ時間に通常の1.5倍から1.6倍の距離を調べられました。

飛ばす先は、人が通れる口径の下水道管とマンホール、大型タンク、焼却炉、ボイラー本体、ピットやダクト、天井裏といった閉鎖空間。口径の細い排水管や配水管には機体が入らず、受水槽や貯水槽も対象から外してきました。映像に堆積や詰まりが写れば、本業の清掃まで続けて引き受けられます。

下水道の硫化水素の測定と対策を『フクロウ』に相談する

下水道の硫化水素の濃度測定は、施設の年中行事ではなく、人が入る作業のたびにかかる義務でした。その日の作業開始前、全員が場所を離れて再開する前、身体や換気装置に異常があったとき。測るのは作業主任者で、記録は七項目を三年間。換気は酸素十八パーセント以上かつ硫化水素百万分の十以下が到達点で、純酸素は使えません。

施設の側では、腐食のおそれが大きい区間に五年に一回以上の点検が定められ、異状を把握したら必要な措置を講ずるところまで政令が求めています。対策は、発生量を減らす清掃としゅんせつ、内面を覆う防食、更生工法や布設替えの三方向。どれを選ぶにしても、出発点は管の中がいまどうなっているかを押さえることでした。

清美環は、下水道管の清掃を三十年以上続けてきた会社。機体はあるが管内で飛ばせないという点検・調査会社からの操縦委託にも応じています。

相談と見積りの費用はいただいていません。お問い合わせページのフォーム、または電話(042-765-4100/平日9時から18時)で受け付けています。対象の設備と口径、延長、直近の点検記録をお知らせいただければ、近い事例に照らして段取りをお答えします。

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