管内点検ドローン『フクロウ』/BLOG
← トップへ戻る

焼却炉点検で炉内をどう見るか|停止期間を縮める調査の組み立て方

焼却炉点検で炉内をどう見るか|停止期間を縮める調査の組み立て方

焼却炉の点検について調べていくと、自治体が公開している点検表のPDFや、運転管理を請け負う会社の業務紹介ページに行き当たります。様式や体制は分かるのですが、炉を止めてから中を見るまでに何が起きるのか、どこを誰がどうやって確認するのかまでは書かれていません。年次の停止点検の日程を組む段になって、その部分で手が止まる方は少なくないでしょう。

この記事では、焼却炉の点検で法令が決めていることと決めていないことを切り分けます。そのうえで炉本体・炉内・付帯設備をどう見るか、人が入れない箇所をどう記録するかを整理しました。下水道管の清掃を三十年以上続け、閉鎖空間へドローンを入れてきた清美環の立場からお伝えします。

焼却炉の点検は、頻度まで法令が決めているわけではない

最初に整理しておきたいのが「法定点検」という言葉の中身です。焼却炉に関わる規定はいくつもありますが、その多くは運転中の条件と排出の測定に向けられており、炉体をいつ開けて何を見るかまでは踏み込んでいません。

廃棄物処理法が求めているのは「定期的な点検及び補修」

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の維持管理の技術上の基準では、焼却施設の設置者に対し、設備を定期的に点検し補修を行うことが求められています。押さえておきたいのは、何か月ごとという間隔が条文に書かれていない点。点検の周期は法令が与えてくれるものではなく、施設ごとに根拠を持って決め、記録に残すべきものだということになります。年に一度の全停止点検を慣行としている施設が多いのは、法定義務というより設備の実情と補修工程から逆算した結果でしょう。

数値で決まっているのは、運転条件と測定のほう

一方、明確な数値を伴う規定もあります。同じ施行規則の焼却施設に関する技術上の基準では、燃焼室中の燃焼ガスの温度を摂氏800度以上に保つこと、集じん器に流入する燃焼ガスをおおむね摂氏200度以下に冷却することが定められました。ダイオキシン類対策特別措置法第28条第1項は、特定施設の設置者に対し、排出ガス中のダイオキシン類濃度を年1回以上測定して都道府県知事へ報告する義務を課しています。

ただし、いずれも運転と排出の管理であって、耐火物が痩せていないか、水管が減っていないかを見る行為ではありません。測定値がすべて基準内におさまっていても、炉体の内側は別の速度で傷んでいきます。点検計画を組むときは、法定の測定と設備の状態確認を別の欄に分けておくと、抜けが起きにくくなるはずです。

炉を止めないと見えない場所に、傷みが集まる

焼却炉の点検対象は炉本体だけにとどまりません。ごみを投入するホッパから燃焼室、二次燃焼室、ボイラー、減温塔、集じん機、灰出しコンベア、そして煙道まで、ひとつの系統としてつながっています。台帳の上では別項目でも、どこか一箇所の不具合がそのまま別の設備の負荷になる関係です。

焼却炉システム各部の傷み箇所を示す断面図

炉内でまず見られるのが耐火物でしょう。燃焼室の内張りに使う耐火煉瓦やキャスタブルは、運転と停止のたびに加熱と冷却を受け、目地が痩せ、亀裂が入り、やがて剥落します。落ちた耐火物が火格子やコンベアに噛み込めば、そこから別の故障が始まりました。ストーカ式であれば火格子の変形や隙間の拡大、キルン式なら内張りの偏った摩耗が、それぞれ確認の主眼になります。

付帯設備の側では、ボイラー水管の外面の減肉とダストの堆積、減温塔内部の付着、集じん機のろ布の目詰まりや破れ、灰出し設備の摩耗が挙がります。厄介なのが燃焼ガスの通り道に固着したクリンカ。溶けた灰が冷えて固まったもので、通風を妨げ、剥がれ落ちれば下流の設備を傷めることもある付着物です。

ごみ焼却施設の点検項目を並べていくと、これらに共通する性質が見えてきます。運転中には確認できない、という一点。停止し、炉内の温度が下がるのを待って、はじめて目視できる対象ばかりでした。

炉内点検の費用は、人を入れる段取りが決めている

焼却炉の内部点検にかかる費用や日数を見積もるとき、実際に炉内を確認している時間は総量のごく一部にすぎません。大部分を占めるのは、人が中へ入れる状態をつくるための工程になります。

まず冷却。炉体は蓄熱しているため停止してすぐには入れず、自然冷却か強制通風で温度を下げる時間が要ります。続いて開口部の確保と足場の設置。燃焼室に高さがある施設では、内部へ仮設足場を組む工程がここに加わり、その分だけ停止期間が長くなりました。

加えて、廃棄物焼却施設の保守点検はばく露対策を伴う作業でもあります。労働安全衛生規則第592条の2から第592条の7では、ばいじんや焼却灰を取り扱う作業について、ダイオキシン類の濃度または含有率の測定、保護具や保護衣の使用、作業指揮者の選任などが定められました。同規則第36条第34号から第36号により、焼却炉や集じん機の保守点検、解体、燃え殻の取扱いに従事する作業者には特別教育が必要になります。

この段取りは削れません。だからこそ、停止期間の中で炉内確認へ何時間を割けるかが、焼却炉点検の設計を左右しました。

停止期間を縮めるための、炉内調査の組み立て方

限られた停止期間で必要な情報を取るには、確認の順番を変えるやり方があります。全体を同じ密度で見るのではなく、先に広く映像で押さえ、傷みが疑わしい箇所へ人と時間を寄せる進め方です。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』では、この考え方をスクリーニング調査と本格調査の二段階として運用してきました。まず機体を入れて内部を一通り撮り、異状の候補をふるい分ける。そのうえで足場や近接調査を投入する範囲を絞ります。当社の実績による目安では、スクリーニング調査によって通常の1.5倍から1.6倍の距離を同じ時間で調べられました。設備の形状や粉塵の量で前後する数字ですので、確定値ではなく計画時の見当としてお使いください。

順番を変えることには副次的な利点もあります。停止直後の状態を映像で残しておけば、補修業者へ渡す資料がその日のうちにそろう。見積りのために別日で現地を見てもらう往復が減り、補修の着手が前倒しになりました。映像と報告書はデータでお渡ししているため、翌年度の予算要求の資料としてもそのまま使えます。

自社の炉がどこまで機体で見られるのか、どこからは人が入るべきなのか。図面と点検口の位置、内部の寸法が分かれば、おおよその見当はつくでしょう。設備の形式と規模、点検口の大きさ、直近の点検履歴をお聞かせいただければ近い事例をもとにお答えしますので、無料相談とお見積りはお問い合わせページから承ります。お電話は042-765-4100(平日9時から18時)でも受け付けています。

焼却炉まわりで機体を飛ばすと、何が起きるか

実際に焼却炉の設備へ機体を入れる場面についても触れておきましょう。清美環がこれまでに焼却炉で担ったのは、北陸地方での煙突の内部調査、高さにして約30メートルの現場でした。炉本体や炉室、ピットといった閉鎖空間には、下水道管や薬品タンクの内部で積み上げてきた飛行の技術を当てています。

ドローン点検の対応範囲と対象外の比較図

炉の内側は、まっすぐ上へ抜けていく煙突とは空間の性質が違います。燃焼室には火格子や段差、伝熱管の列が張り出し、機体が通れる隙間の幅が場所ごとに変わる。床面に厚く積もった灰は機体が起こす風で舞い上がり、視界を白く曇らせます。剥落した耐火物のかけらが散らばる面には降ろせないため、途中で機体を休ませる場所も限られました。停止から日が浅く残熱が残っていれば、上へ抜ける空気の流れに機体が押されます。

操縦の手がかりも、炉内では減っていきます。暗いうえに、外から居場所を教えてくれる電波も入ってきません。加えて、どこを映しても似た耐火物の面が続くため、映像だけでは自分がどこまで進んだのかを見失いやすくなります。入ってきた点検口へ戻る道筋は、飛ばしながら覚えておくほかありません。機体を持っているのに炉内では飛ばしきれないという点検・調査会社から、操縦だけをお引き受けする依頼が届くのは、この見失いやすさが理由でしょう。

灰やダストが舞う環境では、映像の写り方そのものも変わります。粉塵が立つ前に撮り切る、舞い上がりが収まるのを待って撮り直す、照明の当て方を変えて面の凹凸を出す。どの手を選ぶかは炉の形式と灰の量で決まるため、飛ばす順番は現場ごとに組み替えてきました。

対応する範囲と、対応しない範囲

線引きをはっきりさせておきます。清美環がお引き受けしているのは、焼却炉と煙道、煙突、下水道管とマンホール、大型タンク、ボイラー本体、ピット内、天井裏、ダクト内といった空間です。給水管や配水管のように機体が物理的に入らない細い管、受水槽や貯水槽のように墜落したときの衛生面の影響が大きい設備は対象から外しました。小型の焼却炉で炉内へ機体を差し入れる寸法が取れないものも、内視鏡や直接目視の領分になります。

炉内で見つかるのは、ひび割れだけではない

点検の映像に写るもののうち、補修工事で直す対象は一部にすぎません。残りは取り除く対象になります。燃焼室や煙道に固着したクリンカ、ボイラー水管まわりのダスト、ホッパやピットの底にたまった灰。いずれも補修ではなく清掃で片づける仕事でした。

調査を頼んだ会社が清掃を扱っていないと、ここで工程がいったん止まります。映像を渡し、清掃業者へ経緯を説明し直し、あらためて現地を見てもらう。日程も費用も二重に積み上がるうえ、限られた停止期間の中では取り返しのつかない遅れにつながりかねません。清美環は下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃を本業として三十年以上続けてきた会社。堆積や固着を確認したら、そのまま清掃まで一括で引き受けられます。

閉鎖空間を見続けてきた経験は、映像を読むときにも効いてきました。写った付着物が清掃で落ちるものなのか、内張りが剥離して落ちたものなのか。現場で判断がつけば、機体をどう動かして追加の映像を取るかも即座に決まります。実績としては下水道管100メートル(中部)、薬品タンクの内部調査(関西)、焼却炉煙突30メートル(北陸)を担ってきました。

焼却炉の点検の進め方に迷ったら『フクロウ』へご相談ください

焼却炉の点検は、廃棄物処理法が求める定期的な点検と補修という枠組みの中で、間隔も方法も施設の側が設計するものでした。運転条件や排出の測定をどれだけ満たしていても、耐火物やボイラー、集じん機の内側の状態は別に確かめなければ分かりません。そして炉内確認の負担は、その大半が人を入れるための冷却・足場・保護具の段取りに集まっています。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、非GPSの暗所を映像だけで飛ばす熟練オペレーターと、球体ガード型のELIOS 3・小型のIBIS2という2機体、三十年の清掃の知見を組み合わせて、焼却炉や煙道、下水道管、大型タンク、ボイラー本体、ピット、ダクトといった閉鎖空間を見てきました。機体はあるが炉内で飛ばせないという点検・調査会社からの操縦委託にも対応しています。

点検の時期や方法をまだ決めていない段階でも構いません。設備の形式と規模、点検口の位置と大きさ、停止できる日数、直近の点検履歴をお聞かせいただければ、近い事例をもとに進め方をご提案します。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。

← ブログ一覧へ