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ボイラーの開放検査をドローンで|足場を組まずに内部を調べる進め方

ボイラーの開放検査をドローンで|足場を組まずに内部を調べる進め方

「ボイラーの開放検査にドローンを使えないか」と調べ始めた方は、おそらく足場と停止期間のことを考えているのではないでしょうか。検索すると発電所での導入事例がいくつも並びますが、自社のボイラーで何がどこまで置き換わるのかは、事例の見出しを眺めても見えてきません。

この記事では、開放検査という言葉の制度上の位置づけを法令と通達で押さえたうえで、公表されている導入事例が実際に何を削ったのかを整理します。そのうえで、下水道管や排水管の清掃を三十年以上手がけてきた清美環が、管内点検ドローン『フクロウ』でボイラーや焼却炉の内部を飛ばしている立場から、置き換わる部分と置き換わらない部分をお伝えしましょう。

ボイラーの開放検査は「冷やして掃除して開ける」ことが前提になっている

開放検査は、法令の条文にそのまま出てくる名称ではありません。性能検査をボイラー等を開放した状態で受けることから、実務でそう呼ばれてきました。

根拠はボイラー及び圧力容器安全規則、いわゆるボイラー則にあります。同規則第40条は、性能検査を受けるときにボイラー(燃焼室を含む)及び煙道を冷却し、掃除しなければならないと定めました。第一種圧力容器についても第75条で同じく、冷却し掃除することが求められています。内部の損傷の有無を確かめる必要がある以上、原則として開放した状態で検査するという建て付けでした。

ここから逆算すると、開放検査の負担が何でできているかが見えてきます。運転を止め、冷却を待ち、マンホールを開け、内部を掃除し、人が入るための足場を組む。検査そのものより前後の段取りのほうが日数と費用を食うという声が現場から絶えないのは、条文が求めているものが「冷却」と「掃除」という物理的な作業だからでしょう。

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開放検査の周期は、認定を受ければ2年から12年まで延ばせる

もうひとつ押さえておきたいのが周期です。ボイラー等は毎年、開放した状態での性能検査を受けることになっています。ただし運転や保守の管理体制が確立し、基準に基づく高度な管理と自主検査が確実に行われ、過去の検査成績が優良なボイラー等については、所轄労働基準監督署長の認定を受けることで、冷却も掃除もせずに性能検査を受けられました。運転したままの運転時検査と、開放しない停止時検査の二通りが認められています。

この仕組みが開放検査周期認定制度で、運用は令和3年3月29日付け基発0329第8号「ボイラー等の開放検査周期に係る認定制度について」という通達で示されました。周期の区分は2年、4年、6年、8年、12年。区分ごとに所轄労働基準監督署長の認定を受ける形になっています。

いきなり12年は申請できない、段階を踏む設計

要件を読むと、この制度の性格がはっきりします。4年の認定には2年の認定を受けて1回以上運用した実績が要り、6年・8年には4年の認定が、12年には6年または8年の認定が前提として置かれました。飛び級はできない設計になっているわけです。

あわせて、4年以上の区分では経年損傷の防止対策の実施、余寿命の評価、自主検査の基準が整備され適切に実施されて記録が保存されていることなどが求められます。6年・8年になると、割れに対する余寿命について一定の欠陥の存在を仮定し、その進展を工学的に検討することまで挙げられました。要件の全文は日本ボイラ協会の公表ページと通達本文でご確認ください。

つまり、開放する回数を減らすかわりに、開放しない期間の状態を自分たちで把握して記録に残す責任が重くなる建て付けです。ここが、ドローンの話とつながってきます。

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発電所とプラントで公表されているドローン活用の事例

ボイラーへのドローン導入は、すでに国内外で事例が公表されてきました。

化学品メーカーの独BASFは、発電所のボイラー点検に超音波探傷検査ができるドローンを導入しました。機体を提供したテラドローンが2020年12月8日に発表したもので、目的は検査のための足場の設置コストと作業時間の削減だと説明されています(DIGITAL X)。肉厚を測る超音波探傷まで機体に載せた、早い時期の事例にあたるでしょう。

国内では、A.L.I.テクノロジーズが三菱日立パワーシステムズと組み、発電所設備を点検するドローンの開発を進めた件が2019年に日本経済新聞で報じられました。ボイラーなど全地球測位システムの電波が届かない内部を自動飛行する機体で、両社の共同研究は2017年度から始まっています。ドローンメーカーのLiberawareも、株式会社タクマのボイラー・プラント点検でドローンを使った事例を、足場組立のコストと時間の削減という切り口で公表しました。スイスのFlyabilityは発電所点検向けにELIOS 3を展開し、超音波肉厚測定に対応した仕様も用意しています。

事例の見出しを並べてみると、削っている対象がほぼ一致しているのが分かります。足場と、そのために必要な日数。ボイラー内部の仮設足場は規模が大きく、組立と解体だけで工程表の相当部分を占めてきました。人を入れないと決めた瞬間に、この工程がまるごと消えます。

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開放検査にドローンを挟むと、工程のどこが変わるのか

足場と監視員による従来の人的点検とドローン点検の比較図

変わる部分

いちばん大きいのは、内部を見るために人を入れる前提が外れることでしょう。開放検査で人が入るとき、点検の中身とは別にこれだけの準備が必要でした。

  • 内部の仮設足場の組立と解体
  • 人が通れる開口部の確保と養生
  • 換気と、酸素濃度・有害ガス濃度の測定
  • 監視員の配置と入退場の管理

機体だけを入れるなら、準備は進入経路の確保と照明の持ち込みに縮みます。停止期間そのものが短くなるため、生産設備であれば稼働への影響も小さくなるはずです。

記録の残り方も変わりました。映像と報告書をデータで納品するので、前回の映像と並べて同じ箇所の変化を追えます。腐食や耐火物の欠損が進行しているのか止まっているのかは、文章の所見より映像の比較のほうが判断しやすいでしょう。周期認定で自主検査の記録が問われる場面でも、扱いやすい資料になります。

変わらない部分

一方で、ドローンが肩代わりしない領域もはっきりしています。法定の性能検査そのものは検査機関が行うものであり、映像を撮ったから検査に代えられるという話ではありません。打診や肉厚測定を要する箇所、補修や溶接を伴う作業には、結局のところ人の手が入ります。

ですからドローンは、開放検査を消す道具というより、開放するかどうか、開放するならどこを重点的に見るかを先に決めるための道具だと考えたほうが実態に合うでしょう。清美環がスクリーニング調査と本格調査の二段構えを採っているのも、この考え方に沿ったものです。まず全体を飛んで映像で押さえ、異状が疑われた箇所だけを詳しく確認していきます。当社の実績では、スクリーニング調査によって通常の1.5倍から1.6倍の距離を、同じ時間で調査できました。

自社のボイラーがドローンで見られる形状なのか、どこまで映せるのかは、開口部の位置と寸法、内部の障害物、停止できる時間が分かれば早い段階で判断がつきます。対象設備と条件をお聞かせいただければ、近い事例をもとにお答えしますので、無料相談とお見積りはお問い合わせページからお気軽にどうぞ。お電話は042-765-4100(平日9時から18時)でも承っております。

ボイラーの中を飛ばすことが、屋外の空撮と別物である理由

ボイラー内部の飛行は、屋外でドローンを飛ばせる人がそのままこなせる作業ではありません。理由は三つに整理できます。

密集する水管と耐火物の中を照明で飛ぶドローンの断面図

ひとつめは位置情報がないこと。鋼板と耐火物に囲まれた空間には衛星の電波が届かず、機体は自分がどこにいるかを知る手がかりを持ちません。オペレーターは機体から送られてくる映像だけを見て操縦することになり、この方式をFPVと呼びます。

ふたつめは視界の悪さでした。内部は暗く、照明を積んでも光の届く範囲は限られます。すすや灰が舞えば映像は白く濁り、水管の陰は落ちたまま。壁との距離感は、送られてくる映像だけを頼りに測ることになりました。

みっつめが障害物の密度です。水管ボイラーの内部は管束が林立し、耐火物の凹凸や既設の内部足場が経路をふさぎます。進入した経路をたどって戻ってこられるかどうかまで含めて、飛ばす前に組み立てておかなければなりません。

清美環は機体を現場条件で使い分けてきました。非GPS環境に特化した小型のIBIS2は、開口部が小さく狭い空間へ入れる場面で選ぶ機体。球体ガードで囲ったELIOS 3は、接触の可能性が高い管束まわりや、広い炉内で力を発揮します。同じボイラーでも、どこを見たいかで最適な機体は変わりました。

清美環が対応している設備と、点検のあとまでの一括対応

『フクロウ』が入っていくのは、ボイラー本体のほか、焼却炉、煙突、大型のタンク(球体・円筒とも)、ピット内、天井裏、ダクト内、そして下水道管とマンホールです。共通しているのは、人が入れる寸法はあるものの、入るために大がかりな準備が要る閉鎖空間だという点。逆に、機体が物理的に入らない細径の配管や、墜落したときの衛生上の影響が大きい受水槽・貯水槽は対象から外しました。

実績としては、中部地方で中規模の下水道管を約100メートルにわたって調査したほか、関西では薬品タンクの内部調査、北陸では焼却炉の煙突を高さ約30メートルにわたって点検してきました。

点検だけを手がける会社との違いが出るのは、映像を撮ったあとでしょう。清美環は本業として下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃を三十年以上続けてきました。内部にすすや灰、汚泥、スケールの堆積が見つかったとき、そのまま清掃まで一括で引き受けられます。ボイラー則が性能検査の前提として掃除を求めている以上、見つけた汚れを誰がいつ落とすのかは避けて通れない論点になります。調査会社と清掃会社を別々に手配すると、映像を渡して説明し直す手間と、二重の段取りが発生しました。

ドローンを導入したものの管内や炉内で飛ばしきれないという点検・調査会社に向けては、操縦だけを引き受ける対応もしてきました。機体はあるが人がいないという場面では、操縦委託のご相談も承っております。

ボイラーの開放検査とドローンの組み合わせを『フクロウ』に相談する

ボイラーの開放検査は、ボイラー則が冷却と掃除を求めていることから、検査そのもの以上に前後の段取りが重い作業になっています。開放検査周期認定制度を使えば周期は2年から12年まで延ばせますが、そのぶん開放しない期間の状態を自前で把握し、記録に残す責任は増しました。公表されている導入事例が一様に足場と日数の削減を挙げているのも、負担の所在が同じ場所にあるからでしょう。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、非GPSの暗所を映像だけで飛ばせる熟練オペレーターと二種類の機体、そして三十年の清掃の知見で、ボイラー、焼却炉、煙突、大型タンク、ピット、ダクトといった閉鎖空間の調査をお引き受けしてきました。スクリーニングで全体を押さえ、要注意の箇所へ本格調査を集中させる進め方も、そのままご提案できます。

開放検査の周期をどう組み立てるか、次回の停止でどこまで見ておくか。まだ検討の入り口という段階でも構いません。対象設備の種類と規模、開口部の条件、これまでの検査履歴をお聞かせいただければ、近い事例をもとに進め方を具体的にご提案します。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも承ります。

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