「排水管の老朽化が気になり調査を頼みたい。ただ、調べたあとに何が待つのかは見えていない」。そうした状態で検索された方が多いのではないでしょうか。排水管の老朽化は、調査をした時点で片づくものではありません。詰まりの原因になっている堆積を落とす、傷んだ区間を直すといった手当てまで進んで、ようやく排水は元の流れを取り戻します。
ところが世の中の情報は、調査は調査、清掃は清掃と別々に語られがち。頼む側がいちばん迷うのは、報告書を受け取ってから誰へ何を頼むのかという場面のはずです。この記事では、劣化のサインの拾い方から調査手段の決め方、調査結果を清掃や補修へつなぐ段取りまでを一本の流れとして整理しました。下水道管・排水管の清掃を三十年以上手がけてきた清美環が、清掃する側から見た調査の使いどころをお伝えします。
排水管の老朽化は、詰まりの「回数」に先に出る
排水管が寿命に近づいたことは、ある日突然わかるものではありません。多くの建物で最初に表れるのは、詰まりの頻度の変化。以前は数年に一度だった詰まりが年に一度になり、やがて同じ場所で季節ごとに起きるようになる、という進み方をたどります。
同じ箇所が短い間隔で詰まり始めたら、清掃の間隔が足りないというより、管の内側そのものが変わってきたと考えたほうが実態に近いでしょう。現場が「またここか」と感じ始めた時点が、老朽化の調査を検討する段階。
使っている人が先に気づく変化
建物の利用者から上がってくる声には、次のようなものがあります。
- 水がすぐに引かず、洗面台や浴室の排水に時間がかかる
- 排水口から下水のにおいが上がってくる
- 排水するときにゴボゴボと空気の音が出る
- 台所と浴室など、離れた複数の箇所で同時に流れが悪くなる
- 汚水があふれる、天井や壁にしみが出る
ひとつだけなら、その場の詰まりで説明がつくでしょう。ただ、これらが同じ時期にまとまって出てくるようなら、管の内面に付いた汚れが厚みを増し、通り道の断面が狭くなっている状態を疑ってよいはずです。とくに「離れた複数箇所で同時に」という症状は、枝管ではなく共用の縦管や横主管の側に原因があることを示す手がかりになるでしょう。
図面と築年数から、進み方に見当をつける
利用者の声とあわせて見ておきたいのが、建物の素性。扇屋工業は、1990年以前に建てられた建物についてさびの発生と、それにともなう詰まりや管に穴が開く漏水被害が想定されるとし、排水管の寿命が来ていると考えたほうがよいと説明しました。同社はまた、かつて使われていた配管用炭素鋼鋼管や鋳鉄管が現在は使われなくなったことにも触れています。
竣工年、使われている管の材質、これまでの漏水や詰まりの記録。この三つを先に手元へそろえておくと、調査の範囲を決める作業が一気に楽になります。逆にここが空白だと、調査会社は「とりあえず全部見ましょう」としか言えず、費用も期間も膨らみがち。調査を頼む前に用意できる資料が、後の見積りの精度を左右するわけです。
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清掃をしてこなかったこと自体が、劣化の原因になる
老朽化というと、時間の経過だけで進むものだと受け取られがちです。実際にはそうとも限りません。マンションリフォーム推進協議会は、排水管を劣化させる主な原因として、経年による腐食、溶接部分の劣化とあわせて、維持管理が原因の腐食を挙げました。油や毛髪、野菜くずといった汚れが管の内面に付着して汚泥状にたまり、そこから腐食が進むという説明です。
つまり、たまった汚れは流れをふさぐだけでなく、管そのものを内側から傷める側にも回ります。清掃を先送りしてきた管ほど、同じ築年数でも劣化が先に進んでいるということ。
この因果は、調査結果を読むときに効いてきます。映像に堆積物が映ったとき、「汚れているから清掃しましょう」で終わらせるか、「この厚みの堆積が何年続いたなら下の管はどうなっているか」まで踏み込むかで、次の手当ての設計が変わるでしょう。
関連記事:下水管の汚泥堆積対策|たまる原因と点検から清掃までの実務手順
調査で確かめるのは「清掃で戻るかどうか」
排水管の調査を、劣化しているかどうかの判定だと考えると、報告書を受け取ったあとで手が止まります。実務で意味を持つのは、調査結果を次の三つのどれに仕分けるかという点。
- 堆積や付着が主な原因で、清掃すれば通り道の断面が戻る状態
- 管そのものが痩せている、穴が開いている、継ぎ手がずれているなど、清掃では戻らない状態
- 勾配の不良や地盤の沈下など、管の外側に原因がある状態
一番目なら、答えは清掃です。高圧洗浄で内面の付着物を落とせば、流れは回復します。二番目に該当した区間は清掃だけでは解決せず、補修や更生、更新といった工事の検討へ進むことになるでしょう。扇屋工業は、管を取り換える更新工事に比べて、内面に樹脂の層をつくる更生工事のほうが安価で工期も短いと説明しました。三番目は管を洗っても直らず、掘り起こしての作り直しが必要な領域。
この仕分けを先に意識しておくと、依頼の文言も変わります。「劣化状況を調べてください」ではなく「清掃で回復する区間と工事が必要な区間を分けてください」と伝えたほうが、報告書の使い勝手はよくなるはずです。
関連記事:老朽化配管の調査方法を比較|内視鏡とドローンの使い分けと選び方
症状から調査手段を決める、三つの分かれ道
決め手になるのは、症状がどこで出ているかと、その場所の管がどれくらいの太さかという二点。

建物のなかの排水管は、内視鏡やカメラで内側を見る
台所や浴室から伸びる枝管、縦管といった建物内の排水管は、口径が小さく曲がりも多いため、細いスコープを差し込んで内面を映す調査が基本になります。錆こぶやスケールの付着を目で確かめられる方法。ただし届く距離には限りがあり、曲がりの手前で進めなくなることも起こります。あくまで「点」で状態を確かめる調査だと理解しておくと、報告書の読み方を誤りません。
屋外の桝から先は、管路側の調査に切り替わる
建物を出て屋外の桝につながった先は、敷地内の埋設管、さらに公共の下水道管へと続きます。ここからは管の太さも延長も大きくなり、カメラを走らせて連続した映像を撮る方式が主流になります。ただし機材は管底を走るため、水位が高い区間や大きな段差があると性能を出しきれません。
人が入れる太さの管渠やマンホールは、機体を飛ばせる領域
下水道の本管、雨水や汚水の管渠、マンホールなど人孔から入れる大きさの構造物になると、管内点検ドローンという選択肢が加わります。水位や段差の影響を受けずに空中を進むため、カメラ機材が止まる区間でも映像を持ち帰れるのが利点でしょう。反対に、建物内の細い排水管や配水管には機体が入りません。ここは内視鏡やカメラの領分で、ドローンが代わりを務められる場所ではないと申し添えておきます。
調査と清掃を別々に頼むと、現場で何が起きるか
ここからが、調査の解説記事があまり書かない部分。調査会社と清掃会社を別々に手配する進め方には、いくつかの詰まりどころがあります。
ひとつは、手配と立会いが二度になること。調査で一度現場を止め、報告書を待ち、あらためて清掃で現場を止める。テナントや入居者に排水の使用を控えてもらう時間が二度発生し、管理側の調整もその都度必要になります。
もうひとつは、映像の解釈が引き継がれないという問題。調査会社の報告書には「堆積物あり」と書かれていても、その堆積が高圧洗浄で落ちる性質のものなのか、管の変形によってたまり続けるものなのかまでは判断が分かれます。清掃会社は現場に着いてから判断し直すことになり、当初の見積りと実際の作業が食い違う場面も出てくるでしょう。
そして、順序をまちがえると清掃そのものを断られる場合があります。日本クリーン・アップは、鉄製の排水管は管の破損や漏水のリスクが高いことを理由に、築古物件の排水管清掃を敬遠する業者がいると書いています。調査で「かなり傷んでいる」と判明したあとで清掃先を探し始めると、その状態ゆえに引き受け手が見つかりにくくなる。調査と清掃を切り離した発注が招きやすい行き止まりです。
調査から清掃までを一本の段取りに組む
進め方の骨組みは、次のように整理できます。

- 症状と履歴を書き出す。詰まりの発生箇所、頻度、竣工年、管の材質、過去の工事記録をそろえる
- 調査の範囲を決める。全区間か、症状の出ている系統に絞るかを、資料を見ながら判断する
- 調査を実施する。このとき「清掃で戻る区間」と「工事が必要な区間」を分けて報告してもらう
- 仕分けの結果を受けて、清掃・補修・更新の順序と時期を決める
- 清掃を実施する。堆積を落とし、断面を回復させる
- 清掃後に同じ区間をもう一度見て、汚れを落としたあとの管の素地を確認する
- 映像と報告書を保管し、次回の点検・清掃の時期を決めておく
六番目を落とさないでください。汚れが厚く積もった状態では、その下の管の腐食や穴が映像に写りません。清掃で内面を出してもう一度確認すると、はじめて管の素地が見えてきます。調査と清掃を同じ相手に任せられるなら、この「清掃後の再確認」を段取りに組み込みやすくなるのが実務上の利点でしょう。
七番目の記録も次の判断材料。同じ区間の映像が二時点そろえば、劣化がどの速さで進んでいるかを比べられます。一回きりの調査では読めない情報が、そこから見えてくるでしょう。
排水管の状態をどこまで調べるべきか、清掃で足りるのか工事まで要るのかといった段階でしたら、事例をもとにしたお見積りの相談から始められます。現場の規模や条件で進め方は変わりますので、まずは状況をお聞かせください。管の清掃や管内点検についての無料相談・お見積りは、お問い合わせページから受け付けています。
『フクロウ』が入っていける管と、入れない管
清美環は下水道管・排水管の清掃、排水処理施設の維持管理、タンク清掃を三十年以上続けてきた会社で、管内点検ドローン『フクロウ』はその本業から生まれました。清掃で管の中を知る会社がそのまま点検も手がける点が、点検専業の会社との違いになります。
機体を入れられる対象は、下水道管や管渠、マンホールといった人孔から進入できる構造物のほか、薬品タンクなどの大型タンク内部、焼却炉や煙突、ボイラー本体、ピット内、ダクト内、天井裏です。いずれも人が入りにくい、あるいは入れば危険がともなう閉鎖空間。一方で、建物内の排水管や配水管は口径が小さく機体が入りませんし、受水槽や貯水槽も墜落と衛生の観点から対象にしていません。
調査は二段構えで進みます。最初に全体をひととおり映像で押さえて異状の候補を絞り、そのうえで詳しく見るべき区間へ本格調査を寄せる流れ。当社の実績では、このスクリーニング調査によって通常の1.5倍から1.6倍の距離を同じ時間内で調べられています。調べるべき延長が長い現場ほど、この差は日程に効いてくるでしょう。実績としては、中部地方での中規模下水道管100メートルの調査、関西での薬品タンク内部調査、北陸での焼却炉煙突30メートルの調査などを手がけてきました。
自社でドローンを買ったものの、管の中では思うように操縦できないという点検・調査会社からの委託も受けています。機体はそろっているが飛ばせる人がいないという段階でしたら、操縦委託のご相談をお寄せください。
排水管の老朽化調査と清掃のご相談
排水管の老朽化は、詰まりの回数という日常の変化から始まり、調査で状態を確かめ、清掃や工事で手当てをして、記録を次につなぐところまでが一続きの仕事。調査だけを切り出すと、報告書を受け取ったところで話が止まり、清掃先を探し直す手間が生まれます。
清美環では、三十年の管清掃で培った知見と、下水道管・管渠・タンク内部を対象とした『フクロウ』の点検を組み合わせ、状態の確認から堆積の除去までを一続きで支援してきました。詰まりを繰り返す建物についての相談、下水道管や管渠の点検計画、機体はあるが飛ばせない現場の操縦委託。いずれもお問い合わせから承ります。お電話は042-765-4100(平日9時から18時)でも受け付けています。
