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密閉空間の点検をドローンで進める手順|現場条件の確認から報告書まで

密閉空間の点検をドローンで進める手順|現場条件の確認から報告書まで

「密閉空間 点検 ドローン」で検索すると、機体の紹介ページと実証実験のニュースが上位に並びます。どの機体がどれだけ小さく、どんなカメラを積んでいるかは読み取れるでしょう。ただ、自分が管理しているタンクや管きょを実際に頼むとなったとき、何をどの順番で決めていくのかまでは、あまり書かれていません。

点検は機体を選んだ時点で終わりではなく、そこから飛行計画、当日の段取り、報告書の受け取りまでが一続きになっています。この記事では、依頼の連絡が入ってから報告書をお渡しするまでに、どの順番で何を判断しているのかを追いかけました。下水道管や排水管の清掃、タンク清掃を三十年以上手がけてきた清美環が、管内点検ドローン『フクロウ』で閉鎖空間を飛ばしている立場から書いています。

依頼の連絡で最初に伺うのは、機体の話ではありません

ご相談をいただいたとき、こちらから先にお聞きするのは設備の条件のほうです。機体の話は後回しでかまいません。条件が決まらないうちは、飛ばし方も工期も見積りも組み立てられないから。逆にいえば、次の三点さえ分かれば、その場でおおよその進め方をお答えできます。

開口部の寸法と、そこから内部までの経路

マンホールの蓋、タンク側面の点検口、炉の焚口。まず伺うのは開口の内径と、開口をくぐった先がすぐ絞られていないかどうかになります。開口が確保できていても、内側に配管や梁が寄っていれば機体は進入できません。既存の点検口をそのまま使えるのか、開口の新設や仮設が要るのかで、当日の工程は半日単位で動きます。図面と、可能であれば開口部の写真を一枚いただけると、判断はぐっと早くなるでしょう。

中に何が残っているか

汚泥の堆積、残水の水位、内壁への付着、そして粉塵。水位は撮影できる範囲を左右し、粉塵は映像の抜けを左右します。下水道管の場合、雨天後は水位が上がるため、飛ばせる時間帯そのものが天候で動きました。薬品タンクなら、残液と揮発性の有無によって、進入前に置換や乾燥が要るかどうかが変わってきます。ここは三十年の清掃で扱ってきた領域なので、設備の用途と使用年数を伺えれば、中の状態はある程度まで先読みできるでしょう。

その調査で何を決めたいのか

同じ「中を見たい」でも、目的によって撮り方は別物になります。更新計画の優先順位を付けたいのか、漏れや損傷の位置を特定したいのか、清掃の要否と量を見積もりたいのか。優先順位付けなら全体を通して押さえる撮り方に、位置の特定なら該当箇所へ多方向から寄る撮り方へ寄せてきました。目的を先に固めておくと、飛行時間の配分も報告書の書式も、後戻りせずに決まっていくはずです。

関連記事:タンク内部点検の頻度は原則年1回|3年に1回と免除になる条件

聞き取った条件は、そのまま機体の選定条件になります

三点が揃うと、使う機体はほぼ自動的に絞られてきます。清美環が持っているのは、非GPS環境に特化した小型のIBIS2と、球体のガードで囲ったELIOS 3の二機。開口部と内空の寸法、接触の起こりやすさ、そして持ち帰りたいデータの種類という三つの軸で選び分けてきました。二機の構造やセンサーの違いそのものは別の記事で扱っているため、ここでは選定の判断だけを書きます。

開口部と内部の広さの組み合わせで選ぶ機体の比較図解

開口が小さく、内部も狭い管きょや設備なら小型機。開口に余裕があり、内部に障害物が多くて壁や配管に触れる場面が想定されるなら、ガードで囲った機体を持ち込みます。判断が割れるのは、開口は小さいのに内部が広い設備でした。大型タンクや炉がこれにあたり、小型機で入って広い内空を飛ぶことになるため、風の乱れと照明の届く距離を計算に入れて計画を組みます。

ここで一点、現場でよく行き違いが起きる話を。カタログの機体寸法と、実際に通せる開口寸法は一致しません。プロペラガードや脚部を含めた実寸に加え、進入時に機体を傾ける余裕、そして万一止まったときに手で引き戻せる幅を見ておく必要があります。カタログ値ぎりぎりの開口で計画を立てると、当日に入らないという事態が起こりかねません。

関連記事:密閉空間の点検を人を入れずに進める|対象設備と操縦技術の見極め

飛行計画は、帰ってくる余力から逆算して引きます

計画を立てるとき、まず決めるのは「どこまで進むか」ではなく「どこで引き返すか」のほうです。閉鎖空間では、往路で使った電力と同じだけの余力が復路に要ります。加えて、映像伝送が途切れた場合の待機と再取得、障害物を迂回する分の余裕も見ておかなければなりません。往復の中間地点をそのまま折り返し点にすると、たいてい足りなくなります。

人孔間を区間に区切り折り返し点を置く飛行計画の図解

電波の減衰も、経路の引き方に直結しました。金属の壁や厚いコンクリート、曲がりの多い管路では、奥へ進むほど操縦信号と映像が弱まります。そこで、一度に長い距離を狙わず、開口部を複数使って区間を分ける組み方を採ることが多いのが実情でした。下水道管であれば、人孔から人孔までを一区間として計画を刻んでいきます。中部地方で手がけた全長100メートルの下水道管調査も、区間を区切って積み上げる進め方でした。

もうひとつ、開口部の扱いが計画の要になります。煙突やマンホールのように外部とつながる設備では、機体が意図せず開口から出ていかないよう、経路と高度をあらかじめ制限しておきました。なお国土交通省航空局の解釈通達では、建物内等の屋内での飛行に航空法上の各規制は適用されず、開口部があっても内部と外部が明確に区別された空間は屋内とみなすと整理されています。原文は無人航空機に係る規制の運用における解釈について(国土交通省航空局)で確認できます。法の対象外であることと、準備が要らないことは別の話。

関連記事:タンク内の目視点検を代替する条件|酸欠リスクとドローン活用の実際

人を入れない点検でも、当日に残る段取りがあります

機体を飛ばす方式に切り替えると、足場の設置、換気、監視員の配置といった立入前提の準備はまとめて外れます。それでも、当日に必ず残る作業がいくつかあるので、事前に発注側と決めておくとよいでしょう。

  • 設備の停止と隔離 ボイラーや炉の運転停止、ポンプの停止、流入の一時止めをいつからいつまで確保できるか
  • 開口部の管理 誰が開け、飛行中は誰が見ているか。復旧の手順と担当を先に決めておきます
  • 機体が戻らなかったときの手順 回収のために人が中へ入る事態を避けるため、どこまでなら手繰り寄せられるかを進入前に確認します
  • 立会いの範囲 映像をその場で一緒に見ていただけると、追加で撮る箇所をその日のうちに決められます

三つめが抜けると、点検の手間を減らすつもりが、酸素濃度の測定から換気、監視員の配置まで一式を組み直すことになりかねません。機体を入れる前に、引き戻せる範囲を決めておく。地味ですが、当日の判断がいちばん分かれる箇所でした。

対象の設備がどれにあたるのか、当日どこまでの段取りが要るのかは、図面と写真を拝見できれば具体的にお答えできます。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お電話は042-765-4100(平日9時から18時)でも承っております。

現場で分かれ道になるのは、本格調査へ切り替える判断

飛ばし方は二段構えにしました。最初の一本では対象の全体を通すことに徹し、詳しく撮る範囲はそのあとで絞り込みます。ここで判断が要るのが、切り替えをどの時点に置くかでした。早すぎれば見ていない区間を残したまま設備を復旧することになり、遅すぎれば止めている時間だけが積み上がっていきます。目安にしているのは、全体の映像を見終えて所見の候補が出そろった時点。区間ごとに切り替えを挟むより、一度通してから戻る組み方のほうが、開口部の移動も設備の停止も一回で収まりました。

では、何を見たら切り替えるのか。判断の材料になるのは、堆積物の量の急な変化、内壁の色調が変わる区間、継ぎ手まわりのずれや欠け、そして水の流れ方が不自然な箇所です。長年管の中を見てきた感覚が効くのはここでした。映った堆積が清掃で流れる汚れなのか、管の破損で外から土砂が入ってきているのかで、次に打つ手はまったく変わります。前者なら清掃、後者なら補修の検討へ進むという分岐になるでしょう。

切り替えの判断を当日その場で下せると、再訪の手間が消えます。持ち帰って映像を見返してから「もう一度撮りたい箇所が出ました」となると、開口部の再手配も設備停止の再調整も、丸ごとやり直しになるからです。立会いをお願いしているのは、この一点のためでもありました。

報告書は、次の意思決定に使える形でお渡しします

点検の出口は映像そのものではなく、映像をもとに何を決められるかにあります。生データを渡されただけでは、更新計画の会議には持っていけません。清美環では、映像と報告書をデータで納品したうえで、次の三つが読み取れる形にしています。

ひとつめが、どこを撮ったかの対応付け。区間や高さと映像の時刻が紐づいていないと、後から該当箇所を探せなくなります。ふたつめが、所見と根拠の分離。「堆積あり」だけでなく、どの区間にどの程度で、何をもってそう判断したかを添えました。みっつめが、次の手の候補。清掃で解消する見込みなのか、詳しい調査を足すべきなのか、補修の検討に進むべきなのかを、優先順位とともに記載します。

そして清掃までを一続きで扱えるのが、点検専業の会社との違いになります。点検で堆積や詰まりが見つかった場合、そのまま清掃までお引き受けできるため、別の会社へ映像を渡して説明し直す手間がかかりません。関西で手がけた薬品タンクの内部調査、北陸での焼却炉煙突30メートルの調査も、設備の中身を知っている前提で進められた仕事でした。

密閉空間の点検の進め方は『フクロウ』へご相談ください

密閉空間の点検をドローンで進めるとき、成否を分けるのは機体のカタログ値ではありませんでした。開口部と内部の状態、その調査で何を決めたいのかという条件の聞き取りがあり、そこから機体の選定、引き返す地点を先に置いた飛行計画、当日の段取り、現場での切り替え判断、そして次の手が読み取れる報告書へとつながっていきます。順番に決めていけば、どの設備でも進め方は形になるはずです。

清美環の管内点検ドローン『フクロウ』は、非GPSの暗所を映像だけで飛ばせる熟練オペレーターと二種類の機体で、下水道管とマンホール、焼却炉、大型タンク、ボイラー本体、ピット内、天井裏、ダクト内といった閉鎖空間を調査してきました。すでに機体を保有していて管内を飛ばせないという点検・調査会社からの操縦委託にも対応しており、ご相談は操縦委託のお問い合わせから承ります。

対象設備と開口部の寸法、これまでの点検履歴をお聞かせいただければ、近い条件の事例をもとに進め方と概算をご提案します。現場の規模や条件によって内容は変わりますので、まずは今の状況をお知らせください。無料相談とお見積りはお問い合わせページから、お急ぎの場合はお電話(042-765-4100/平日9時から18時)でも受け付けています。

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